母の買い物はぼんやりとしています。
テレビや雑誌、人の話を参考に、評判が良いものを基準に選ぶことが多いのです。
同じものが見つからなかった場合は妥協して、それらに似た他のものを買うのだとか。
私がお気に入りだと話したオーブントースターと同じものを買ってきたこともありました。
一見、物にこだわりが無いようにも思えるけど、ショッピング自体は好きな様子。
もしかして、欲しいと思うものや、自分に合ったものを見つけるのが苦手なだけなのでは……?
なんでも、10月10・11日は「デジタルの日」になったそうな。デジタル庁が「#デジタルを贈ろう」をスローガンに、社会全体でデジタルに触れて楽しむ記念日として新たに設置されたようです。
私たちの世代ではインターネットオークションやECサイト、フリマアプリなどでアイテムを探したり、購入することはもはや日常の一部になっています。
母にもひとつの手段としてネットショッピングを勧めてみたのですが、話を聞いてみるとインターネット自体うまく活用できていないようでした。
ならば、インターネットの楽しさを知らない母に、デジタルサービスを使ってもっとショッピングを楽しんでもらおう。検索のコツや、ショッピングサイトの使い方を教えながら、日頃から欲しかったものを一緒に探してみました。
登場人物
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欲しいものをやみくもに探すより「コマンド検索」
普段の買い物は近所の大型ショッピングモールで済ませているという母。インターネットの使い方をどの程度知っているのでしょうか。検索スキルの確認から行ってみることに。
画像左が母。右は筆者です。
母に行動を検索されている飼い犬。名前はシナモン。
たとえば、服が欲しくて検索したのに、クリーニングの情報がでてきたら邪魔やん。そういうノイズになるワードを検索結果から除外できるの。
代表的なコマンド。のちほど母の欲しいものを、検索コマンドを使って探してみます。
コマンドが覚えられないのであれば、「検索設定」ページは知っておくといいよ。キーワードを入力するだけで、コマンド検索とほとんど同じことができるから。
コマンド検索と同じ効果が得られる「検索オプション」ページ(Google検索より)
「クリスマスプレゼント」を普通に検索するとランキングページが多い。「ランキングが含まれるページを外す」というコマンド検索をすると「ランキング」を含まない「クリスマスプレゼント」についてのページが結果に表示される。
スマホとかで撮った写真をアップロードすることで検索できるの。
例えば、外で咲いてる花や植物の名前を調べたい時とか写真を取って「画像検索」にかけると似た写真とその名前とかを表示してくれる。名前がわからないもの、思い出せないものを探したいときに便利だよ。
Googleの画像検索画面。これも後ほど母の探し物で使います。
インターネットで母の欲しいものを探す
検索を使ったアイテム探し。少しやる気になった母に、今、思いつく欲しいものをリストアップしてもらいました。以下の5点を探します。
米田母の欲しいものリスト □高山のエゴマの五平餅 |
買い物が漠然としているので物欲もあまりないのかも? と思ってましたが、意外といろんなジャンルの物欲があることが判明。母の新たな一面を見た気がします。
「高山のエゴマの五平餅」をコマンド検索してみた
※五平餅……つぶしたご飯を串焼きにしてタレを付けた、中部地方の山間部に伝わる郷土食。地方によってタレや形、大きさ等が異なる。
でもまあ、エゴマの五平餅って郷土料理だし、そのお店のものは食べられないとしても、近いものはありそうじゃない?
検索してみた結果、複数のお店や企業が製造していることが分かった。
コマンド検索でやる場合は「五平餅 “エゴマ” -レシピ」。
「リリアン糸のカーテン」は幅や長さも合わせて複数検索
でも、売ってるお店ぜんぜん見つからないんだよね。昔はよく見かけたから、そのうち買い物ついでに見つけられるんじゃないかなって思ってるんだけど。
※リリアン……リリヤン(Lily-yarn)。人工絹糸(レーヨン)をメリヤス編みで細い紐に編んだ手芸糸。カーテンを布生地ではなくリリアン糸をたくさん垂れ下げて作ることで、適度な目隠しになる。
このカーテンを取り替えたいらしい。
カーテン幅も検索窓に入力。(画像:黄色の矢印部分)
でもこのショップならネット上で注文して、家の近くの店舗で受け取ることができるよ。
でも買うのは他のサイトのカーテンもゆっくり調べてから考えたいな。こんなにすぐ出てくるとは思わなかったから。
「水を飲むように見える鳥形のシーソーの置物」……?
子供の頃に住んでいた家の台所に置いてあったの。5、6才だったから、55年くらい前かな。すごい印象に残ってて、また見たいなって。いつも水を替えてあげてただけだけど……好きだったんだろうね。
「こんな感じだった気がする」と絵を描いて説明する母。
描いてもらったついでに、この画像で「画像検索」をかけてみたところ「スケッチ」との検索結果が出た。間違ってはいないけれど、求めている答えとは違った…
あっ、出てきた! ああー! そうそう! こんなやつやった!なつかしー。 「ドリンキングバード」って名前だったんだ。
思い出のドリンキングバード。母のイラストとはあまり似てないような……?
ウィンドウショッピングみたいで、検索結果を見るだけでも楽しいな。こんなことができるんだったら、今は忘れてる欲しかったものも思い出すかもしれない。
「苔(苔を育てるキット)」をメルカリで探してみた
成長にスピード感がないけど、苔なりに確実に育っとるわけやん。そこが好きで、苔を育てたいなって。
出品してる人は個人だから、趣味で育てた実績のある苔とかがみつかりやすいかもね。あとは商品説明もよりていねいに詳しく書かれているかも。
メルカリでさっそく「苔」で検索。メルカリはパソコンからでもできます。
サイドメニュー内カテゴリ「販売状況」の「販売中のみ」にチェックを入れると売り切れ商品である「SOLD」表示のアイテムが消える。
苔だけを箱に詰めて売ってる人もいるし、育てるための道具とか、飾りとセットで売ってる人もいる。育て方の説明書も付けてくれるっていう人もいるね。
ページには詳細な商品説明。アイテムには説明書付き。親切すぎる。
これだけでも結構勉強になる。苔について、ぜんぜん知らなかったかも。
苔を育てる道具もしっかり揃えてみたくなってきた。
「メルカリってむずかしいと思ってたけど、慣れればできそうだね。」と、商品の画像を拡大してデジタルの苔を楽しむ母。
「パン生地をこねる機械」もメルカリで探してみる
材料を入れてから生地をこね始めるのに一時間くらいかかるの。思い立ったらすぐやりたいし、自分で成形もしたいから、短時間で生地をこねてくれるだけの機械が欲しいなって。メロンパンとか、ちくわパンが作りたい。
何も言わずとも、メルカリで「パン捏ねき」と検索。すごいスピードで慣れ始めている……!
「パン捏ねき」でもいいけど、より一般的ワードの方がたくさん出てくると思うよ。
「ホームベーカリー」だと550件に増えた。
画像左側、サブメニューのチェックボックス一覧で条件を設定する。ブランドや価格のほか、アイテムの品質状態も選べる。価格に送料が含まれる「送料込み」というチェックもあり、送料にお金をかけたくない時は嬉しい。
パン生地を作る機能はなかったと思うけど、作れるの……!?
キッチン棚の奥からプロっぽいハンドミキサーを出してきた。こんなの持ってるの知らなかった。
アタッチメントはひとつ3,000円程度。生地をこねる機械より絶対安い。
数日後、購入したアタッチメントが到着。さっそくパン生地を作っていました。
検索で欲しいものを探すのは楽しい?
母の感想 自分の頭のなかにある情報をヒントに、答えを知る方法があるなんて新たな発見だった。今まで欲しいな、やってみたいなと思っていただけだった願望が現実になりそう。もっと慣れたら友達にも教えてあげたいな。 |
インターネットに対してここまで感覚が異なるとは思わず、楽しさや便利さを伝えられるか不安でした。
しかし母は検索に慣れるにつれて新しい発見を素直に喜ぶようになり、最終的には怖がっていたインターネットショッピングもすんなり。母と私の違いは、インターネットの便利さを知っているか否かだけだったのかもしれません。
なつかしい記憶や日々生まれる願望や疑問など、自分が持つ情報をもとに、新たな発見や出会いが得られるのがデジタルの力。同世代の友人とも共有することで、母にもっと検索の楽しさを知ってもらえたら嬉しいなと思いました。
さらに後日、母は五平餅のタレと、ドリンキングバードも買っていました。「懐かしさに共感してくれる人が欲しい」とのこと。
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