母の買い物はぼんやりとしています。

テレビや雑誌、人の話を参考に、評判が良いものを基準に選ぶことが多いのです。
同じものが見つからなかった場合は妥協して、それらに似た他のものを買うのだとか。

私がお気に入りだと話したオーブントースターと同じものを買ってきたこともありました。

一見、物にこだわりが無いようにも思えるけど、ショッピング自体は好きな様子。
もしかして、欲しいと思うものや、自分に合ったものを見つけるのが苦手なだけなのでは……?

なんでも、10月10・11日は「デジタルの日」になったそうな。デジタル庁が「#デジタルを贈ろう」をスローガンに、社会全体でデジタルに触れて楽しむ記念日として新たに設置されたようです。

私たちの世代ではインターネットオークションやECサイト、フリマアプリなどでアイテムを探したり、購入することはもはや日常の一部になっています。
母にもひとつの手段としてネットショッピングを勧めてみたのですが、話を聞いてみるとインターネット自体うまく活用できていないようでした。

ならば、インターネットの楽しさを知らない母に、デジタルサービスを使ってもっとショッピングを楽しんでもらおう。検索のコツや、ショッピングサイトの使い方を教えながら、日頃から欲しかったものを一緒に探してみました。

登場人物


米田梅子。30歳。
初めてパソコンを触ったのは5才のころ。IT関連の企業に勤めており、人生のほとんどをインターネットと共に過ごしている。


筆者の母。60歳。
スマホの使い方は、同居している10代と20代の娘(筆者の妹)から教えてもらっているらしい。ただし自分から聞くこと以外は知らない。

 

欲しいものをやみくもに探すより「コマンド検索」

普段の買い物は近所の大型ショッピングモールで済ませているという母。インターネットの使い方をどの程度知っているのでしょうか。検索スキルの確認から行ってみることに。

画像左が母。右は筆者です。

普段どれくらい検索サイトを使ってるの? 「検索」してる?

ほとんどしない。テレビを見ていて、気になった情報があればGoogleとかyahooの検索で調べるくらいかな。あとは漢字を忘れた時とか、犬の行動が気になった時とか。

母に行動を検索されている飼い犬。名前はシナモン。

それから、流行りの服。調べるだけで、買わないけど。

服は、どんなキーワードで探すの?

「服」

え! 「服」だけ? 他には? 複数単語での検索はしないの?

まず「服」で検索して、出てきた検索結果のなかから、良さそうなサイトを見る。見ているうちに気になる言葉を見つけたら、複数ワードで検索するよ。「服 ブルゾン」とか。一回ずつ見ては、単語を増やす。でもふたつ、みっつくらいしか並べないな。

地道すぎる……。じゃあ「コマンド検索」を覚えよう。効率が上がるから。

コマンドケンサク……?

キーワードを限定して、検索できる機能。
たとえば、服が欲しくて検索したのに、クリーニングの情報がでてきたら邪魔やん。そういうノイズになるワードを検索結果から除外できるの。

なんか解説員みたいになった。

代表的なコマンド。のちほど母の欲しいものを、検索コマンドを使って探してみます。

へえー。でも覚えられるかなあ。

ひとつふたつ知っておくだけでもかなり便利だよ。
コマンドが覚えられないのであれば、「検索設定」ページは知っておくといいよ。キーワードを入力するだけで、コマンド検索とほとんど同じことができるから。

コマンド検索と同じ効果が得られる「検索オプション」ページ(Google検索より)

 

「クリスマスプレゼント」を普通に検索するとランキングページが多い。「ランキングが含まれるページを外す」というコマンド検索をすると「ランキング」を含まない「クリスマスプレゼント」についてのページが結果に表示される。

これとは別に「画像検索」っていうおもしろい検索方法もある。
スマホとかで撮った写真をアップロードすることで検索できるの。

あっぷろーど……? 写真で探すってどういうこと?何を探すの?

かんたんに説明すると、「検索サイト」っていう質問の窓口に説明資料として写真や画像を提出すると、「画像に似ているもの探してみました。このなかにないですか?」って答えをくれる機能。
例えば、外で咲いてる花や植物の名前を調べたい時とか写真を取って「画像検索」にかけると似た写真とその名前とかを表示してくれる。名前がわからないもの、思い出せないものを探したいときに便利だよ。

Googleの画像検索画面。これも後ほど母の探し物で使います。

初めて聞きましたね。

周りの人、友達とはインターネットの話はしない?

しないね。みんな詳しくないし。これでも私は知ってるほうだから、QRコードの使い方とか聞かれて教える側になることはあるかな。

むしろQRコードは使うんだ。仕事先ではお母さんと同じ世代の人も普通にインターネットを使っているから親世代ってもっとできるイメージだったけど、結構知らないんだなあ。

インターネットで母の欲しいものを探す

次は欲しい物を実際に探そう。

検索方法にもいろいろあることはわかったけど、ネットでの買い物は怖いかも。

怖い?

クレジットカードの番号を打ち込んだら、相手にクレジットの番号伝わるでしょ。流出するんじゃないかって思う。

まぁ、ニュースとかでそういう話が流れてたりするから気持ちはわかる。ただ、ネットでも支払い方法はカード以外にもいろいろあるから、怖くないものを選べばいいよ。銀行振り込みとか、コンビニ払いとか、代引きとか。

それは知らんかった。だったらやってみてもいいかもしれない。

検索を使ったアイテム探し。少しやる気になった母に、今、思いつく欲しいものをリストアップしてもらいました。以下の5点を探します。

米田母の欲しいものリスト

□高山のエゴマの五平餅
□リリアン糸のカーテン
□水を飲むように見える鳥形のシーソーの置物
□苔(苔を育てるキット)
□パン生地をこねる機械

 

買い物が漠然としているので物欲もあまりないのかも? と思ってましたが、意外といろんなジャンルの物欲があることが判明。母の新たな一面を見た気がします。

「高山のエゴマの五平餅」をコマンド検索してみた

40年前、初めて岐阜高山に行った時に食べた五平餅(※)がすごいおいしかったの。あつあつで、エゴマのタレがたっぷり塗ってあって。その時の五平餅が食べたいんだけど、店員さんは老夫婦だったし、もうお店は無いだろうな。

※五平餅……つぶしたご飯を串焼きにしてタレを付けた、中部地方の山間部に伝わる郷土食。地方によってタレや形、大きさ等が異なる。

お店が無いなら、ネットで探す以前の問題では……!?
でもまあ、エゴマの五平餅って郷土料理だし、そのお店のものは食べられないとしても、近いものはありそうじゃない?

検索してみた結果、複数のお店や企業が製造していることが分かった。

検索した結果に「五平餅のレシピ」が混ざってるな。逆に、エゴマを使ってない五平餅も入ってる。

じゃあ「レシピ」をマイナス検索。「エゴマ」を検索必須に設定しよう。そうすると「レシピ」という言葉が入っているページと「エゴマ」が入っていないページは検索結果から除外される。

コマンド検索でやる場合は「五平餅 “エゴマ” -レシピ」。

なるほどね〜。良さそうな五平餅見つけたんだけど、使用食材について詳しく知りたいのに書かれてない。こういう時は調べる方法はないの?

商品ページから問い合わせればいい。たいていはメールフォームとか、チャット機能がそのサイトに備わってるから。番号が書いてあるなら電話でもいいと思う。取り扱っているお店から情報を教えてもらえると思う。

それじゃあメールで問い合わせしてみよう。返事を待ってるあいだに他のものも探してみようかな。

いろんなところから買って、食べ比べてもおもしろそうだよね。

「リリアン糸のカーテン」は幅や長さも合わせて複数検索

テラスにかけてあるカーテンをリリアン糸(※)のカーテンに替えたいの。糸のカーテンなら風通しがいいし、目隠しにもなるし。
でも、売ってるお店ぜんぜん見つからないんだよね。昔はよく見かけたから、そのうち買い物ついでに見つけられるんじゃないかなって思ってるんだけど。

※リリアン……リリヤン(Lily-yarn)。人工絹糸(レーヨン)をメリヤス編みで細い紐に編んだ手芸糸。カーテンを布生地ではなくリリアン糸をたくさん垂れ下げて作ることで、適度な目隠しになる。

気が長いなあ……。

このカーテンを取り替えたいらしい。

カーテンなら、すぐ見つかりそうじゃない? 検索ワードとして希望する幅や長さも一緒に入力すれば、ピンポイントで出てくるはず。

カーテン幅も検索窓に入力。(画像:黄色の矢印部分)

いっぱいあるし、ぴったりのサイズのものも出てきた。よく行く家具屋さん(ニトリのことらしい)のサイトにもあるな? このあいだ、お店に行った時は置いてなかったのに…。どこに隠れてたんやろ。

店舗によって置いてない場合もあるよ。
でもこのショップならネット上で注文して、家の近くの店舗で受け取ることができるよ。

え〜そんなこともできるの! わざわざ店内で探さなくてもいいじゃん。
でも買うのは他のサイトのカーテンもゆっくり調べてから考えたいな。こんなにすぐ出てくるとは思わなかったから。

「水を飲むように見える鳥形のシーソーの置物」……?

水を飲むように見える鳥型のシーソーの置物……ってたぶんあれのことだよね? 実物見たことないけど昔のドラマとかに出てくる。

鳥の頭がシーソーみたいに揺れる置物ね。
子供の頃に住んでいた家の台所に置いてあったの。5、6才だったから、55年くらい前かな。すごい印象に残ってて、また見たいなって。いつも水を替えてあげてただけだけど……好きだったんだろうね。


「こんな感じだった気がする」と絵を描いて説明する母。

描いてもらったついでに、この画像で「画像検索」をかけてみたところ「スケッチ」との検索結果が出た。間違ってはいないけれど、求めている答えとは違った…

うろ覚えでも、名前覚えてない?

えっ、名前なんかあったの? ……シーソー鳥とか?

知らんけど、それは違う気がするわ。じゃあ、記憶を頼りに、ヒントになるような言葉を組み合わせてで検索してみようか。

「ガラス・鳥・水・置物……で、いいかな」
あっ、出てきた! ああー! そうそう! こんなやつやった!なつかしー。 「ドリンキングバード」って名前だったんだ。

思い出のドリンキングバード。母のイラストとはあまり似てないような……?

こうやって、ヒントになるような言葉を組み合わせるだけでも見つかることもある。

世の中どうなっとるの……! こんなことがあるの……!?
ウィンドウショッピングみたいで、検索結果を見るだけでも楽しいな。こんなことができるんだったら、今は忘れてる欲しかったものも思い出すかもしれない。

「苔(苔を育てるキット)」をメルカリで探してみた

苔は好きなの。見ていると癒される。山とか庭園に行って、見つけると嬉しい。
成長にスピード感がないけど、苔なりに確実に育っとるわけやん。そこが好きで、苔を育てたいなって。

「苔育てたい」って、もう20年くらい言ってない?

苔玉作りは何回もしてるよ。でもなぜか育たないの。なんでやろなあ。

……今ちょっとだけ調べてみたけど、苔によって育てやすい種類もあるみたいだよ。

そうなの? 育てやすい苔があるなら、それがいいな。でもたくさん販売ページがあって、どれがいいのかわからんな。

メルカリの企画だし、せっかくだからメルカリでどんな苔があるのか探してみよう。
出品してる人は個人だから、趣味で育てた実績のある苔とかがみつかりやすいかもね。あとは商品説明もよりていねいに詳しく書かれているかも。

メルカリでさっそく「苔」で検索。メルカリはパソコンからでもできます。

たくさんある! メルカリのなかだけでも、こんなに苔を育てたり売ったりしとる人がおるの!?

メルカリにも検索のオプションがあって、価格帯や色で絞り込んだりできるよ。それで欲しい商品を絞れる。結果の左横のメニューを見てみて。

サイドメニュー内カテゴリ「販売状況」の「販売中のみ」にチェックを入れると売り切れ商品である「SOLD」表示のアイテムが消える。

本当だ。探しやすくなった。

検索結果から気になる画像をタップすると、その商品アイテムの詳細が見られる。
苔だけを箱に詰めて売ってる人もいるし、育てるための道具とか、飾りとセットで売ってる人もいる。育て方の説明書も付けてくれるっていう人もいるね。

ページには詳細な商品説明。アイテムには説明書付き。親切すぎる。

苔の本とかもあるのかなって「苔 育て方」で検索したら、商品説明欄に育て方がていねいに書かれた苔が出てきた……。
これだけでも結構勉強になる。苔について、ぜんぜん知らなかったかも。
苔を育てる道具もしっかり揃えてみたくなってきた。

それで、買いたい苔はあったの?

あったけど、3種とか5種とかまとめて売ってくれる人もたくさんいて、どれもいいから目移りするんだよね。悩む。

苔ってまとめ売りもされてるんだ。

「メルカリってむずかしいと思ってたけど、慣れればできそうだね。」と、商品の画像を拡大してデジタルの苔を楽しむ母。

「パン生地をこねる機械」もメルカリで探してみる

食パンが焼ける「ホームベーカリー」は持ってるんだけどね。
材料を入れてから生地をこね始めるのに一時間くらいかかるの。思い立ったらすぐやりたいし、自分で成形もしたいから、短時間で生地をこねてくれるだけの機械が欲しいなって。メロンパンとか、ちくわパンが作りたい。

ちくわパン……? 具体的にはどんな機械が欲しいの?

片手で持てるくらいのサイズで、コンパクトなのがあればいいな。値段は一万円以内くらいで。……ホームベーカリーでもそれなりの物は3万くらいするし、絶対ないよね(笑)

無茶だわ〜。でもまあ、メルカリには安いホームベーカリーもたくさん出品されてるし、もしかしたらあるんじゃない。

何も言わずとも、メルカリで「パン捏ねき」と検索。すごいスピードで慣れ始めている……!

132件……予想していたより少ないような?

検索ワードを変えたらもっとでてくると思う。「ホームベーカリー」とか「パン生地」とか。
「パン捏ねき」でもいいけど、より一般的ワードの方がたくさん出てくると思うよ。

「ホームベーカリー」だと550件に増えた。

ワードを絞りすぎると出てこないんだね。

キーワードは広く該当するものにして、予算設定とか、条件部分を細かく設定しよう。条件に合うものだけが検索結果に出てくるようになるから。

画像左側、サブメニューのチェックボックス一覧で条件を設定する。ブランドや価格のほか、アイテムの品質状態も選べる。価格に送料が含まれる「送料込み」というチェックもあり、送料にお金をかけたくない時は嬉しい。

「パン生地」で調べたら、パン生地も作れるミキサーやブレンダーが出てきた!

パン生地ってミキサーで作れるんだ?

あれっ、うちにあるのと同じハンドミキサーも、パン生地が作れるものとして出品されてる。
パン生地を作る機能はなかったと思うけど、作れるの……!?

どういうこと?

キッチン棚の奥からプロっぽいハンドミキサーを出してきた。こんなの持ってるの知らなかった。

これについてもっと知りたい! どうすればいい?

メルカリの出品ページを読んだだけでわからないなら、Googleとか検索サイトに戻って、「メーカー」や「商品名」で調べてみよう。今回はあわせて「パン作り」とかパンに関連したワードを入れるといいかも。

ははあ、パン生地を作るためのアタッチメントが別売りされてるみたい。そんなものがあったのか……。

アタッチメントはひとつ3,000円程度。生地をこねる機械より絶対安い。

つまりこのアタッチメントだけ買えば済むってこと? これで作れたらすっごい便利やんね。小さくて安くてほとんど希望通りだし、高い機械を買わなくてもパン生地が作れるなんて……!

じゃあメルカリに戻って、パーツの名前で検索して……

メルカリには、アタッチメントだけで売ってる人はいないみたい。でも電気屋さんのサイト(ヨドバシ.comのことだった)では売ってる。このサイトで買ってみようかな。

買うんだ!?

クレジットカードで。

パンへの愛情すさまじいな!?


数日後、購入したアタッチメントが到着。さっそくパン生地を作っていました。

検索で欲しいものを探すのは楽しい?

母の感想

自分の頭のなかにある情報をヒントに、答えを知る方法があるなんて新たな発見だった。今まで欲しいな、やってみたいなと思っていただけだった願望が現実になりそう。もっと慣れたら友達にも教えてあげたいな。

インターネットに対してここまで感覚が異なるとは思わず、楽しさや便利さを伝えられるか不安でした。

しかし母は検索に慣れるにつれて新しい発見を素直に喜ぶようになり、最終的には怖がっていたインターネットショッピングもすんなり。母と私の違いは、インターネットの便利さを知っているか否かだけだったのかもしれません。

なつかしい記憶や日々生まれる願望や疑問など、自分が持つ情報をもとに、新たな発見や出会いが得られるのがデジタルの力。同世代の友人とも共有することで、母にもっと検索の楽しさを知ってもらえたら嬉しいなと思いました。

さらに後日、母は五平餅のタレと、ドリンキングバードも買っていました。「懐かしさに共感してくれる人が欲しい」とのこと。

執筆:米田梅子 編集:ノオト

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