農業もかんたんDX!新鮮トマトを初めてネットで売ってみた。岐阜のトマト農家「まるかじり農園」さんインタビュー【デジタルの日2021特集②】

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2021年10月10日・11日は「デジタルの日」。この日は“誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化”について考える日として、デジタル庁が設定しました。

 

メルカリでは、スマホからカンタンにネットショップを開設できる『メルカリShops』を7月末から開始。メルカリは個人同士のフリーマーケットですが、メルカリShopsは個人のお店、農家、ハンドメイド職人さんなど、小商いのDX化を支援するためメルカリに新たに追加されました。現在までに洋服や農産物、手作り雑貨やアクセサリーなどを取扱うお店が続々と開設しています。

 

今回は『メルカリShops』で、鮮度と美味しさにこだわったトマトを販売されている「まるかじり農園」(岐阜県高山市)の石垣拓さん(34歳)に農業とデジタルについての可能性についてお話を伺いました。

 

まるかじり農園

岐阜県高山市で王様トマトを中心に野菜を栽培。ミネラル豊富な水や高冷地ならではの寒暖差を活かし、「そのまま、まるかじりできる」をコンセプトに、安心安全で美味しい鮮度にこだわった野菜づくり心がけている。

Twitter:https://twitter.com/marukajirif

 

初めてのネットショップは、使い慣れたメルカリで

――本日はよろしくお願いします! 早速なのですが、まるかじり農園さんが『メルカリShops』を始めた経緯から教えてください。

2021年4月からふるさと納税の返礼品にうちで採れたトマトを選んでもらったことをきっかけに、トマトをネット上で売りたい思いが少しずつ強くなりました。ただ、ECサイトのデザイン経験もある妻から「ゼロからネットショップを立ち上げるのは大変だよ」と聞いていたので、自分たちだけでやるのは難しいだろう、と。そんなとき『メルカリShops』を知って、8月より「まるかじり農園 直売所」を開設して、ウチのトマトをネット上で売り始めました。

まるかじり農園を経営する石垣拓さん

――他のネットショップと『メルカリShops』は比較されましたか?

はい。いくつか比較検討していくと、農業EC市場はある程度は成熟しているなと感じました。多くの農家さんが集まっている、いわゆるモール型のECだと価格競争は逃れられないし、顧客とのやりとりも大変そうだな、と。

――なるほど。ライバルが多いと、新規参入するのもキツいですよね。

その点『メルカリShops』は、まだ競合も少ないですし、スマホだけで手軽に開設できるのはリスクもほとんどなく魅力的に感じました。普段からメルカリを使っていたのも大きいかもしれませんね。

メルカリShops「まるかじり農園 直売所」

 

――石垣さんにとってはネットショップを開くのが初めてだったとのことですが、実際に始めてみてどんな印象がありましたか?

始めたばかりの頃は試行錯誤する時間が多かったです。例えば、商品の説明文の添削を知人にお願いしたり、商品の写真を工夫したり、友人たちに食べてもらって感想をもらったり。梱包する段ボールのデザインや、どんなメッセージを同梱したら喜んでもらえるかを考えたり、少しずつ改善しながら運用していました。あとは、お店と商品のページ作っただけで宣伝や告知を大きくしなくても、お客さんがうちのページを見つけて、商品をお買い上げいただいたのは素直に驚きました。


メルカリShopsで届く「まるかじり農園」ショップの王様トマトのセット。段ボールのデザインにもこだわりあり。

――手応えはいかがでしょう。

多い時だと1日に30件程の注文をいただくこともありました。梱包と発送作業で大変な日もありますが、今まで届けられなかった方へトマトを届けられるようになったのは嬉しいですね。自分たちでは気がつかなかったトマトや農業のいいところをレビューに書いてもらえるので、教わる部分も多いです。

――いろんな人から声をもらいながら今のカタチにたどりついたわけですね。

あとはスマホでネットショップが運営できると、ずっと家のパソコンに張り付いて作業するということもなく、農作業の合間に商品の追加や購入者との取引ができるので助かりました。配送伝票を印刷するためにまだパソコンは必要ですが……この点は今後のアップデートに期待ですね。

消費者の声が直接届くのはデジタルならでは

――まるかじり農園さんのレビューを見てみると高評価な意見がたくさん投稿されていますね。

ありがとうございます。人気の「無選別 訳ありトマト」については何が訳ありなのか写真と紹介文で伝えるよう心がけています。最初の頃は、良かれと思ってきれいなトマトの写真を掲載していたのですが、「数が違った」「大きいトマトが入っていなかった」などネガティブな評価も出てきたので、あえて傷もそのまま写真に載せるようにしました。

『無選別 訳ありトマト』の商品ページ

 

――正直に伝えていくことも大切なのですね。

スーパーや八百屋でトマトを買うのとは異なり、ネットでトマトを買っていただくって時間もコストもかかります。どのトマトにしようか選ぶ時間、注文して届くまで待つ時間、送料や梱包にかかる手数料もお客様にご負担いただくわけなので、そのぶん期待は大きくなるはずです。
そんなお客様に喜んでもらうためには何をしたらいいかを前提に、収穫から発送までを考えるようになりました。「市場に生産物を納品して終わり」という従来の農業とはまた違い、直接お客様とのつながりを感じられるようになったと思います。

購入者の元にはトマトと一緒に、お礼や「食べ頃トマトの見分け方」を記したメッセージも届く

――消費者さんと直接つながれるのはデジタルならではですね。これまでにどんな声がありましたか?

「今まで食べたトマトと比べ物にならなかったのでもう一度購入しました」というレビューは本当に嬉しかったですね。大きさや見た目の違いに対する厳しい声もありましたが、味に不満がある人はほぼいませんでした。これは僕たちにとっても大きな発見で、農家としての自信にもつながりました。

――それは嬉しいですね。石垣さんの周りでは、どれくらいの農家さんがネットショップで農作物を売っているのでしょうか。

ネットでは全国各地から出店しているのでたくさんいるように見えますが、体感ですが、1%いるかいないか……とても少ない印象です。JAさんへの出荷に最適化されている業界なので、毎日農作業して、出荷して、を繰り返していると、自分が育てた野菜の価値に気づく暇がありません。形がちょっと悪いとか、傷がついているとか、JAさんの規格に見合わず出荷できないものに価値があると気づいて、行動に移せる農家さんは少ないと思います。

――市場の中にいると、なかなか自分たちの商品の価値に気づかないものですよね。

けれど『メルカリShops』の向こう側には、泣く泣く捨てていた野菜でも食べたいと思ってくれている人がたくさんいたんですよ。今回始めてみて、その実感を得ることができました。みんなでネットショップをやろうよ! とは言いませんが、こういう農家もいるよ、ということを同業のみなさんに知ってもらえたら嬉しいです。

1年中トマトを楽しめる、1年中農業を続けたい

――ネットショップはいわゆる“販売のデジタル化”ですが、石垣さんが農業に取り入れているデジタルは他にもありますか?

トマトの水やりは自動化しています。トマト栽培には1株あたり2リットルほどの水が必要で、土の中にチューブを入れてそこから水をかけているのですが、スイッチの切り替えは手動でした。現在は水を汲み上げるポンプと電磁弁をコントロールパネルと連動させることで、1日4回決まった時間にそれぞれスイッチONになり、自動的にチューブから水が流れるシステムになっています。

コントロールパネルと連動させた電磁弁(左)とポンプ(右)

――水やりの手間が一気に省けますね。

一方で、水の量は電磁弁を何分間開放するかで決まるのですが、その日の気温や天気などさまざまな要因から人間が判断しなくてはいけません。そのようにまだ自動化が難しい複雑な部分については、自分たちで調整しています。

――全てデジタル化するのではなく、取り入れるべきところを取捨選択していると。

『メルカリShops』もまさにDXの一環ですよね。主に農園の情報はTwitterで発信しているのですが、自分にあったSNSで発信していくことも農業のDX化につながっていくと思っています。

――SNSを活用することで、消費者の農業に対する印象も変化しそうですね。最後に、これからの目標を教えてください。

いま私の農園では、アルバイトの子と一緒に「トマト染め」の商品開発や、加工品や新品種の開発を進めています。それは1年中トマトを楽しめる農園になれたらといいなと考えていて。野菜の場合、旬の季節以外は他の仕事と兼業せざるを得ないことも多いのですが、1年中農業だけを続けられる、そんな農園になれたらいいですね。

1年を通してトマトを楽しんでもらうべく、青いトマトを使った加工品も計画中とのこと

あと、同世代の農家9名で「THAT.」という共同出荷団体を設立しています。個々の農家ではまかないきれない出荷量を確保したり、安定して供給したりするための団体で、スーパーや市場の八百屋さんへ直で出荷をしています。農家の高齢化、後継ぎ不足は深刻ですが、農業は未経験からのスタートや新規の参入がなかなか難しいイメージもあり、若い人の選択肢に入りづらいと思っています。若い人のライフスタイルにあった農業の働き方を提案できるよう、僕たちの世代から仕組みを開拓していきたいです。職業を選択する際に、農業が当たり前に選ばれるようになったら嬉しいです。

*  *
農業という職、キャリアの可能性を広げることに挑み続けている石垣さん。ネットショップにSNS……これからもさまざまなデジタルサービスが、個人のライフスタイルに合った“多様な農業のカタチ”を可能にしていくかもしれません。

取材構成:つるたちかこ 編集:ノオト


 

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