メルカリShopsに出店しているショップに、事業活動の信念や商品の開発秘話などをお聞きしていく#ショップインタビュー。Vol.31は「グリラスショップ」さんです。
今回は、運営元である株式会社グリラスの西郷琢也さんと谷山克也さんにお話を伺いました。
(※記事中の写真は全て株式会社グリラス提供)
徳島を拠点に、コオロギの可能性に挑戦し続ける
ーはじめに、株式会社グリラスについて教えてください。
西郷さん:株式会社グリラスは、徳島大学発のフードテックベンチャーです。
徳島大学では、30年にわたり、コオロギの研究を行ってきました。その成果を広く価値を伝えるために、2019年にグリラスを創業しました。現在、食用コオロギの品種改良・生産・原料加工・商品開発・販売を一貫して行っています。
ー最近、食用コオロギが注目されているのはなぜですか?
西郷さん:一つは、世界人口の増加に伴う食料問題、とりわけ「タンパク質危機」の解決策としての、昆虫食への期待の高まりです。
もう一つは、食品ロスの問題です。全世界で生産されている食品の約3分の1に相当する約9.3億トンの食品ロスが毎年発生していると言われています。
そこでグリラスでは、食品ロスを新たなタンパク質へと循環させることのできる食用コオロギを“サーキュラーフード”と位置付けて、タンパク質危機及び食品ロスの問題を解決しようと食用コオロギ関連事業を行っています。

西郷さん:オリジナル商品としては、クッキーやプロテインバー、カレーなどがあります。これらは、自社のオンラインサイトやコンビニなどで販売させていただいています。
無印良品で販売している「コオロギせんべい」でも、弊社のコオロギパウダーが使われているので、食べたことがあるかもしれません。

「みなさまの手に届くところに、見えるところに」。お客さまの声を踏まえ、販売チャネルを拡大
ーメルカリShopsに出店された経緯を教えてください。
西郷さん:最初に世に出た弊社関連の商品は、先ほど話した無印良品の「コオロギせんべい」ですが、これは原材料であるコオロギパウダーを無印良品に供給し、製造・販売は無印良品にお任せする形でした。
そのため、お客さまの反応がわからなかったんです。美味しかったのか、好みではなかったのか、直接声を聞いてみたいという想いがありました。
やっぱり自分たちでも商品を作って、お客さまに直接お届けしたいということで、2021年の6月に「C. TRIA(シートリア)」というブランドをスタートしました。
C. TRIAは「C」が「3つ(TRIA)」という意味に由来します。その3つの「C」はCirculated(循環型)に Cultured(養殖された) Cricket(コオロギ)の頭文字からきています。

西郷さん:最初は自社のオンラインストアや、イベントスペースでのポップアップで販売し、たくさんのお客さまの声を集めました。
そこで聞こえてきたのは、「買いづらい」という意見でした。
そもそも、昆虫食というハードルがある上で、商品を買おうと思ったら、オンラインストアに行かなきゃいけない。普段使っていないサイトだから、新たに会員登録や決済をするのもさらなるハードルとなっていました。
そういった意見を踏まえて、「みなさまの手に届くところに、見えるところに」をテーマに掲げ、ポップアップでの手売りからコンビニへの流通へ、自社のオンラインストアから色々なプラットフォームでの販売へ、と展開を進めることにしました。その中でメルカリShopsへの出店を決めました。
ー実際にメルカリShopsに出店してみて、率直な感想を教えてください。
西郷さん:今まで弊社のオンラインストアで買われていたお客さま以外の方がご購入しているので、我々のことを知らなかった方にも知ってもらえたな、という実感はあります。
ーどういった方が購入されているのですか?
西郷さん:オンラインストアは男女比や年齢層の偏りというのはあまりなく、興味関心が高い方に買っていただけているのかなと思います。単純に「最近、昆虫食ってよく聞くけど、なんなんだろう?」と調べて買ってみようというお客さまや、環境意識が高く、エシカルな消費をしているお客さま。
また、意外と多いのがギフト需要です。いわゆる罰ゲームの文脈ではなく、「こんな商品があったよ。食べてみて」とコミュニケーションツールとして購入いただいてます。
ーパッケージデザインも素敵ですよね。パッと見た時はコオロギとはわからないので、昆虫食に抵抗がある人でも手に取りやすいなと思いました。
西郷さん:例えばプロテインバーには「コオロギがくれた驚きの栄養価」「これ1本でタンパク質1食分!」と書くなど、ひと目でコオロギの良さがわかるような工夫をしています。
今はコオロギを食べる文化を広げていく初期の段階なので、少しずつみなさまにいい物だと認識いただけるようなデザインになるよう心がけています。

コオロギの餌は、人が食べているもの。グリラス産コオロギの特徴
ーグリラスでは、コオロギの飼育も行っています。グリラス産コオロギにはどのような特徴がありますか?
西郷さん:グリラスのコオロギは飼育から原料化まで、徳島県美馬市の小学校の廃校を活用した拠点で行っています。

西郷さん:飼育箱の中に紙の卵パックを並べて、1,000〜3,000匹のコオロギを育てています。だいたい30日ほど経ったら収穫します。
それをもともと職員室や校長室があったところに作った加工場で、殺菌や乾燥など工程を経てパウダーにしています。

ー育てる環境などによって、コオロギの味は変わるんですか?
西郷さん:味は変わりますね。コオロギにもいろいろな特性があって、コオロギは他の昆虫に比べて雑食性があるんですね。何でも食べられるます。
よく「どうしてイナゴやカイコではやらないんですか?」と聞かれるんですが、イナゴは稲しか食べないし、カイコは桑の葉しか食べません。
もし、イナゴやカイコを大量生産しようとすると、それ以前に稲や桑を大量生産する必要があります。これだと、食料課題を解決する力としては弱くなってしまいます。それに、稲や桑が育つ環境は限定されているので、養殖向きではないんですね、
一方、コオロギは雑食性、何でも食べることができるので、養殖に向いています。
弊社のコオロギは、様々なメーカーさんからいただいた食品加工残渣(ざんさ)で育てています。食品加工残渣とは、例えば米を精米する時に出る米糠や、醤油を圧搾する際に出る搾りかす、うどんを作る時に出た切れ端などのことを言います。そういった本来捨てられるはずだった食品加工残渣を、コオロギ自身にとっていいものに仕上げています。
メーカーさんから「実は工場でこんな残渣出ているんですけど、コオロギにとってどうですか」と相談を受け、その研究を進めているのが研究開発部の谷山です。
谷山さん:いくつか残渣を与えてみると、面白いことに体の大きさが変わったりしてきます。その要因はいくつかあって、一つ目が雑食と言えど、好き嫌いがあるという点です。二つ目は、食べることはできるけど体質に合っていないものがある点。
例えば食品残渣はコオロギが住んでいるところにはないものがほとんどです。コオロギが自然にひょこひょこ歩いているところで、ラーメンやチョコレートに出くわす機会ってほぼ0ですよね。それに興味を示して口にはしますが、継続して食べるか? 体の中で消化されて栄養になるか? というのは別問題です。
何を食べて育ったかで、コオロギ自体の味も少しずつ変わっていきます。

ー餌によって栄養価も変わってくるんですか?
谷山さん:はい、栄養価も変わってきます。僕のイメージで言うと、フィジーク(鍛えた体の美しさを競う競技)の選手を作るみたいな感じなんですね。
実際、糖質や脂質を制限させると、栄養成分が変わります。オイリーになったりならなかったりと、結構面白いですね。
コオロギの好き嫌いだけでなく、コオロギにとって栄養価があるかどうかにも配慮して餌の研究を進めています。
コオロギは持続可能な社会に欠かせない存在
ーコオロギにかける熱い思いが伝わってきました。今後、コオロギをたべることが普通になる社会がやってくるのでしょうか。
西郷さん:コオロギは「タンパク質危機」と「食品ロス」の問題を解決できると思っています。
前者のタンパク質危機は、人口増加と経済発展に伴って起こると言われています。そんな中で、重要となるのは持続可能な食料です。
例えば既存の畜産である牛は体重を1kg増やすのに餌を10kg必要とします。牛の可食部は大まかにいうと50%くらいなので、牛が餌を20kg食べてやっと人は牛肉を1kg食べられます。
一方で昆虫、特にコオロギは1.7kg〜2kgの餌で、1kgのタンパク質のコオロギを育てることができる。可食部は100%なので、飼料変換効率は非常にいい。
また、牛のゲップやオナラには温室効果ガスが含まれていますが、コオロギはそれが比較的少ない。必要な餌の量も排出する温室効果ガスも少ないので、飼育自体がサステナブルです。

食品ロスについては、日本は食料の3分の2以上を輸入に頼っていますが、せっかく輸入して食品を作っても、多くの加工残渣(ざんさ)が出ています。
我々としてはその資源を100%有効活用したいと考え、加工残渣(ざんさ)を使ってコオロギを育てています。その中でもコオロギの好き嫌いだったり、コオロギの体に良いもの/悪いものがあるので、バランスを見ながら、少しでも多くの食品ロスを減らして効率よく資源を使っていこうと取り組んでいます。
「今日はコオロギを食べよう」が当たり前になる未来へ
ー今後乗り越えるべきハードルはどういったものがありますか?
西郷さん:3つハードルがあると思っています。
1つ目は心理的なハードルです。やはり「昆虫を食べる」ということに対して、見た目や味にネガティブな印象を持っている人が多いんですね。
特に味については、土臭かったり青臭かったりというイメージを持っているかもしれませんが、実は穀物のような香ばしい味わいなんです。これはひとえに喫食機会を通じて「コオロギって意外と美味しいな」という体験を作っていくことで心理的なハードルをクリアしていきたいと思っています。
2つ目は物理的なハードルで、具体的にはアレルギーの問題です。コオロギはエビやカニなど甲殻類と類似成分を含むため、甲殻類アレルギーを持っている人が食べると同じような症状が出る場合もあります。また、おそらく昆虫特有・コオロギ特有のアレルギーもある可能性があります。
食の安心安全の追求は非常に重要なので、我々だけでなく国内外問わず様々な研究機関が推進すべきことだと考えています。
3つ目が金銭的なハードルです。正直、まだまだ需要が大きくなく、生産量も少ないので、スケールメリットが生まれていません。コオロギを食べる文化を浸透させるのと並行して、コオロギを大規模で流通させられる仕組みを作ることが解決策になると思っています。
コオロギが当たり前に食卓に並ぶようになるには、これら3つのハードルをクリアしなければいけないのかなと思います。
ー「グリラスショップ」さん、ありがとうございました!
(※記事中の写真は全て株式会社グリラス提供)
メルカリShops編集部では、食用コオロギを使ったグリラスさんの商品を実際に食べてみました!購入したのはプロテインバー、クランチチョコ、クッキー3種類が入ったセットです。

食べる前は多少抵抗はあったものの、食べたらおいしいチョコレートクッキーでした。香りや後味も全く違和感なし!食品ロス削減量などの表示があって、積極的に食べていきたいという気持ちになりました。

同居する家族にも食べてもらいましたが、どれも好評!40代の夫はプロテインバーがお気に入りで、「香ばしさがあって普通のプロテインバーより好きかも」とのことです。
「昆虫食」と聞くと、ちょっとハードルが高く感じるかもしれませんが、メルカリShops なら「メルカリ」アプリから手軽に購入できます。興味がある方はぜひ、お試しください♪


