メルカリShopsに出店しているショップに、事業活動の信念や商品の開発秘話などをお聞きしていく#ショップインタビュー。Vol.25は紙にこだわったエコな文具を販売している「SlideNote & kaku」さんです。
「SlideNote & kaku」を展開する株式会社研恒社の代表取締役社長 神崎さんにお話を伺いました。
大手メーカーにはできない「手作り感」のあるクラフト文具
ーはじめに研恒社さんについて教えてください
今年で54期目を迎える商業印刷の会社です。メルカリShopsでも販売している文具事業は、3年前からスタートした比較的新しい取り組みとなります。
紙からデジタルへと時代が移っていく中で、我々印刷会社もいろいろなことに取り組んできました。過去には日本料理の事業などもやったことがあるのですが、思うようにはいきませんでした。新しいことをやるにしても、本業と50%くらいは重なる事業でないとダメかと思い、紙を使った文房具の事業を立ち上げました。
ーメルカリShopsでは「SlideNote & kaku」というショップで文房具を販売されています。どういった商品を展開されているか教えてください。
現在は、「大切な方へのプレゼント」をコンセプトとしたこだわりの文房具ブランド「kaku souvenir」と、スライド式のリングレスノート「SlideNote」をメインで販売しています。
「kaku souvenir」 では、例えば「4つの糸でおりこんだノート」を販売しています。カラーボックスに4冊の正方形ノートが入っているノートセットですが、種類の違う4種類の糸で、一冊一冊手作業で丁寧に製本しています。

また「書きごこちを92回楽しむメモ」は、一つのメモ帳で92種類の紙を使っています。紙によって違う書き心地を楽しむというコンセプトで作りました。

ー一般的な文房具に比べるとかなりユニークな商品が目立ちます。
文房具のメーカーとしては、とても大手には敵いません。我々は大手メーカーさんではできないような、手作り感のある「クラフト文具」を目指しています。
根底にあるのは「紙を捨てたくない!」という想い
ースライド式のリングレスノート「SlideNote」とはどんな商品ですか。
これは、「紙を捨てたくない!」という私の想いをそのまま形にした商品です。
私には小学生の子どもがいて、毎年学期や学年が変わるたびにノートを買い替える必要があるんです。その時に、以前使っていたノートを見てみるとたいてい、使い切ってないんです。白紙のページがたくさん残っている。
私も長年、紙を商売道具にしてきたということもあって、まだ使える、きれいな紙を捨てることにとても抵抗があります。妻と2人で余白ページをノートから切り取って別のメモ帳を作るということもしてきたのですが、どうにも使いきれないんです。
こういう余ったノートを有効活用できる方法がないのか、と考えて作ったのが「SlideNote」です。紙1枚単位で綴じられるノートで、余った紙を無駄にすることなく使い切れます。

ー確かに日常生活の中で、この紙まだ使えるのにもったいないと感じるシーンは多いですよね。
はい、多くの方に共感いただき、「SlideNote」は2021年度グッドデザイン賞も受賞しました。穴を開けずに紙を綴じられる独自の機構は特許を出願しています。

また、印刷屋ならではの発想で、印刷時に余った紙を活用した「あまり紙」も販売しています。この紙は「SlideNote」に挟んで使うことができます。

ー「あまり紙」とはどういった商品ですか?
印刷会社という仕事はどうしても紙が余ってしまいます。紙は、大きなロットで発注する必要があり、しかも種類もすごく多い。全て在庫として保管もできないので、どうしても廃棄しないといけない場合があります。
それがずっと嫌だったんです。
「SlideNot」が「あまり紙」の受け皿になれるのではないかと思ったんです。一袋に30種類の紙をパックして、中には普段なかなか触れる機会のない高級紙も入れています。いろいろな種類の紙を入れることで、お客さまにとっても新たな紙や書き心地を知ってもらうきっかけになるのではと思っています。
ーゴミを減らせる「エコ」な取り組みが素晴らしいと思います。
「あまり紙」を販売したからといって、廃棄する紙の量が著しく減るわけではもちろんないのですが、「紙を大切にしたい」という想いを理解してもらえたら嬉しいです。
ーメルカリShopsで販売しようと思ったきっかけを教えてください。
自社でECサイトも展開しているので、外部のネットショップとどう付き合うかというのは迷うところでもありました。ただ、コロナ禍で在宅時間が長くなった時に家族でメルカリを使っていたことや、初期費用が無料ということもあり、やってみることにしました。
「紙を使った文具」で社会貢献を目指す
ー実際に販売されてみていかがですか?
まず、「らくらくメルカリ便」は助かっています。商品が売れたらコンビニで発送できるというのは本当に便利。
ただ現状ではお客さまが何を求めているか、把握するのがなかなか難しいなと感じています。従来からのメルカリ利用者は、やはり一品ものだったり、プレミアム感のある商品を求めているように感じています。
TikTokなどのSNSなども活用しながら、大企業ではなかなかできないような細かいチューニングを入れていきたいと思っています。
一方で、企業としてメルカリShopsの初期から関われたことは良かったと思っています。これからサービスが成熟していく過程を一緒に体験できるのが楽しみです。

ー今後の展望について教えてください。
「SlideNote」は、「環境に優しい」というだけではなく、紙にこだわりたい、書き心地にこだわりたいという文具好きのニーズも満たした大きな可能性を秘めた商品だと思っています。今後は海外展開も視野に入れつつ、もっと多くの人に知っていただきたいです。
今回、インタビューのお話をいただいた時に、改めて、メルカリの創業の精神を確認しました。メルカリが掲げている「限りある資源を循環させ、より豊かな社会をつくりたい」というのは私たちの希望でもあります。
ペーパーレス化が進む中、印刷会社の役割も変化する必要があります。これからも紙と歩む企業として「紙の文具」を通じて、社会に提案できたらと思っています。


