長崎のおいしい煮干しを全国へ!漁師の伝統から思わぬヒットを生み出した「天洋丸」さん

メルカリShopsに出店しているショップさんに、こだわりや想いを伺っていく #ショップインタビュー 。Vol.17は長崎県雲仙市で代々まき網漁を営んできた「天洋丸」さんです!今回は、ショップ広報を担当される竹下恵理さんにお話をうかがいました。

日本一の煮干しの産地で新たな漁業のあり方を模索

竹下さんは、漁師としては3代目となる父・千代太さんのもと、製品開発や広報活動に精力的に行っており、昨年12月にメルカリShopsに出店。「漁業や煮干しの魅力をもっと知ってほしい」と語ります。

ーはじめに天洋丸さんの事業内容を教えてください。

長崎県の橘湾(たちばなわん)で、煮干しの原料となるカタクチイワシを中心としたまき網漁業を営んでいます。煮干しを使った加工品作りのほか、水産加工食品などの販売も行っています。

現在は、食育を目的とした漁師体験などにも積極的に取り組んでいます。

ー長崎県の橘湾(たちばなわん)とはどんなところですか。

橘湾周辺は温泉地で海底からも温泉ガスが湧き出ており、水温と栄養に恵まれていることから魚が豊富に集まってくる場所です。特にカタクチイワシがたくさん獲れるので、橘湾は昔、「エタリの遊び場」(「エタリ」は地方名でカタクチイワシのこと)と呼ばれていたほど。

ご存じのように、カタクチイワシは「煮干し」の原料ですが、実は長崎県は煮干しの生産量が全国1位なんですよ。

ー天洋丸さんで今、最も注力しているのはどんな商品ですか?

最近はまき網を再利用した「網エコたわし」や加工食品の開発、食育や漁業体験など、「漁業」という従来の枠にとらわれない取り組みに力を入れています。

そこには、今の「漁業」を取り巻く状況に危機感を感じているという背景があります。

現在、漁師をしている父ですが、以前は大手水産会社でサラリーマンをしていました。しかし、水産に関わるなら「現場」からと、地元に戻ってきて家業を継いだという経緯があります。

私は、県外の食品会社で商品開発に携わっていましたが、魅力ある事業をしているにもかかわらず、情報発信が上手くできていない両親を見かねて1年前から広報活動を主に担当しています。

外の会社で経験したことを活かして、従来の「漁業」とは違うアプローチをすることで、煮干しのおいしさを全国のみなさんに伝えたり、漁業の魅力を若い人たちに知ってもらいたいと思っています。

泡立ちがよく、水切れも良い「網エコたわし」がヒット

ー「網エコたわし」とはどういう製品ですか。

まき網漁で使った網をカット、スチーム除菌して、たわしとしてリサイクルしたものです。もともとまき網は400mと非常に長く、破れたらその部分だけ修理して使い続けていますが、10年ほど経つと、その部分を切り取って新しい網に張り替えています。

漁師の間では昔から、取り替えた後の古い網が「たわし」として使われていました。魚の鱗を取ったり、まな板や包丁を洗うなど、活用されてきたのですが、まさか網を洗って商品にするなんて、誰も思いつかなかったと思います(笑)。

ー実際に商品化してみて反響はいかがでしたか。

予想以上のヒットに驚いています(笑)。

福岡のテレビ番組で料理家さんが紹介してくださったことで、多くの方に知っていただきました。網目が細かいため少量の洗剤で泡立ちやすく、網目に引っかかって汚れを落としやすい、すぐに乾くのでカビやニオイが気にならない、といった声をいただいています。

好きな大きさにカットでき、何トンもの重さに耐えられる強度があるのも特徴です。私も2年以上使っていますがビクともしません(笑)。

2021年には海の環境保全につながる点、カットして使いやすい点、デザインのシンプルさなどが評価され「長崎デザインアワード2021」で大賞をいただくことができました。

メルカリShopsを通じて届く“生の声”がモチベーションに

ーメルカリShopsを利用しようと思われたきっかけを教えてください。

私たち天洋丸でも以前から、自社のECショップで水産加工物の販売は行っていましたが、“送料”という課題がありました。

私たちが取り扱っている商品は単価が安いものが多いため、九州から発送すると関東より北の地方は送料がかなり高くなってしまうんです。それで「送料が高いから」とキャンセルされるお客様も少なからずおられ、歯がゆい思いをしていました。その点、メルカリShopsはメルカリ便を使えば送料が全国一律と聞き、出店を決めました。

ー出店してみていかがでしたか。

自分自身が以前からメルカリ利用者だったので、登録はスムーズでしたね。商品をいくつか登録しましたが、最初にヒットしたのが「橘湾のOYATSU」シリーズです。

たくさんの「いいね」をいただいたことからおすすめ欄に載り、多くの方にご購入いただきました。また「網エコたわし」もコンスタントに売れています。

ーヒットしたという「橘湾のOYATSU」とはどんな商品ですか?

煮干しとアーモンド、ココナッツ、バナナなどを組み合わせたものです。煮干しそのもののおいしさを味わってもらいたいので、水揚げして10分以内に煮干し加工したものを味付けせず、オーブンでカリッと焼いています。

煮干しはたんぱく質やカルシウムが豊富なので、大人にとっては「罪悪感のないおやつ」、お子さんにも「これなら安心してあげられる」という声をいただいています。

特にバナナはお子さんに好評のようで、ある方がお孫さんに買ってあげたらとても喜ばれ、“おかわり”を催促されたそうです(笑)。

メルカリShopsは購入者とメッセージをやり取りする機能があり、こういった声が直接聞けるのも、ショップ側としては励みになりますし、また新たな商品開発に取り組もうというモチベーションにつながりますね。

ーバナナと煮干しを合わせるってかなり斬新ですね…!

もともとこのOYATSUシリーズは、5年前に地元の中学生の職場体験を受け入れたときに「煮干しとアーモンドの黄金比率を考えよう」と一緒に考えたところから生まれたものなんです。

次も小学生や大学生と一緒に商品開発したら、また違ったアイデアが生まれるのでは、と思っています。最近は梅干しやピスタチオ、枝豆、といったアイディアもいただいています。こうした商品をきっかけに、より多くのみなさんに橘湾の煮干しを知ってもらえたらうれしいです。

ーほかにおすすめの商品があれば教えてください。

「エタリの塩辛」を試してほしいです。カタクチイワシ(エタリ)を塩漬けにして熟成させたもので、独特のクセがあってハマるとおっしゃってくださる方も多いんです。ご飯やバケットに乗せて食べるのもいいですが、アンチョビのようにピザに乗せたり、アヒージョに入れてもおいしいです。

エタリの塩辛は地元の伝統食なんですが、徐々に食べる人、作る人が減っていて、この伝統が途絶えることに危機感を感じています。これからはメルカリShopsを通じて、全国の方にエタリの塩辛の魅力を知っていただけるよう、商品とともに様々な食べ方を提案していきたいと思っています。

クールメルカリ便で市場に出ない「レアな魚」を全国へ

ー最後に、今後挑戦したいことを教えてください。

メルカリShopsでは、クール便の配送も全国一律になったので、こちらも利用してみたいと思っています。漁をしていると、数匹だけしか獲れないレアな魚がいるんですが、数が少ない魚種は売り先がなくて困っていたんです。

これらが獲れたときにメルカリShopsで販売してみたいな、と思っています。より多くのお客さまの目に留まるような撮影方法や値づけなども研究していきたいですね。

地域活動では、コロナ前まで行っていた漁業体験を再開していきたいと思っています。みなさんが口にする魚がどのように獲られたのかを知っていただくことで、魚が好きになったり、漁業に携わってくれる人が増えるとうれしいですね。

ー天洋丸さん、ありがとうございました!

天洋丸ショップ

(取材・文/田中真紀子