メルカリShopsでネットショップ再挑戦。創業1841年渋草焼窯元・芳国舎の次なる一手とは – 金継ぎ工房Mさん

メルカリShopsに出店しているショップさんに、こだわりや想いを伺っていくショップインタビュー 。Vol.12は、「金継ぎ工房M」の松山正和さんです!

使い慣れているメルカリだから、ネットショップへの再挑戦を決めた

ー「金継ぎ工房M」の運営会社である、株式会社芳国舎渋草製陶所について教えてください。

芳国舎は創業1841年で、名付け親は勝海舟という非常に歴史のある会社です。渋草焼の陶磁器は職人たちが一つひとつ手造りで、手描きで仕上げています。

陶房の方も明治初期に建てられたもので、現在高山市指定有形民族文化財になっています。

ーメルカリShopsに出店を決めた理由を教えてください。

実は一度他のECプラットフォームを活用していたのですが、売れ行きが思わしくなくて。どうしようかなと思ってたときに、メルカリShopsが始まることを知ったんです。もともと個人的にメルカリは利用していて、使い慣れているということもあって、もう一度ネットショップに挑戦してみようと思ったんです。

オリジナル金継ぎ商品「ゴルフマーカー」

ーショップ名「金継ぎ工房M」の由来はなんですか?

金継ぎの商品をメインで取り扱いたいというのと、クラフトっぽい名前にしたいなという思いがあって。最後に松山のイニシャルMをつけて「金継ぎ工房M」にしました。

ーなぜ主に金継ぎの商品を販売しようと思われたんですか?

そもそも金継ぎとは、割れたり欠けたりした器を漆を使って修復する技法で、室町時代より茶の湯の文化とともに受け継がれてきたと言われています。弊社では生漆による古来からの技法で行うため、修理期間は5〜6ヶ月はかかります。

手間暇はかかるものの、私は金継ぎがすごく好きで。ただ、金継ぎは結局器が割れないと行えない。もっとやるにはどうしたらいいか…と考えたとき、うちは陶磁器メーカーだから、素材はいくらでも作れることに気づいたんです。

試しに商品化には至っていない在庫品を割ってみたんです。当たり前ですけど、一つとして同じ割れ方はしないんですね。さらに金継ぎをしてみたら模様が意外と新鮮で良い仕上がりになったので、いくつか店頭に出してみたんです。

それがすごく好評で。さらに、あるお客さまが「もうちょっと小さくしたら、ゴルフマーカーに使えるよ」とおっしゃって。

ーゴルフマーカーですか? その発想はありませんでした。

私もすごく意外でした。そもそもゴルフをやっていないので、半信半疑だったんですが、寸法を調べて作ってみました。約1年かけて200個ほど仕上げたんですけど、おそらく日本中で誰も金継ぎのゴルフマーカーは作ってないと思います。去年地元の銀行さんのゴルフコンペの景品として採用されるなど、需要はあるなと感じています。

ー金継ぎする際にはどういった点にこだわっているんですか?

従来、金継ぎは修理の線は目立たせず、細くきれいに仕上げることが一般的なんですね。けれど、ゴルフマーカーの場合はグリーン上で目立つ必要がある。そのため、わざと金を目立たせるために立体感をつけて、傷跡を誇張しています。あらゆる角度から太陽の光が反射するように、ゴルフ未経験ながら創意工夫しています。

ー商品ページで工夫されている点はありますか?

正直、まだ全然手が回ってなくて。商品を作ることは好きなんですけど、アピールすることが得意じゃないので、これからちゃんとやっていきたいなと思ってます。

特に写真は商品の魅力がきちんと伝わるように工夫したいです。金継ぎは見る角度によって表情が変わるので、それを表現できたら良いなと。

メルカリShopsが伝統工芸品を手に取るきっかけになってほしい

ーメルカリShopsに期待することを教えてください。

メルカリShopsを通して、より多くのお客さまにお届けできたら良いなと思っています。

もともと伝統工芸は先細りというか、職人の数が減るなど厳しい状況にあります。売り上げを維持するためにはコストを抑える必要がありますが、うちは昔ながらの職人による手作りにこだわりたいんですね。1個1万円するものは多くは売れないのですが、昔からの顧客の皆さまを大事にしたいので、方針を変えずにやっていくつもりです。

そんな中で金継ぎというものを覚えて、これならば比較的手頃な価格で提供できるので、新たな層にアプローチできるのではと考えたんです。そこで、本業は息子に任せて、私は金継ぎに注力することにしたんです。

ー「金継ぎ」はここ最近の巣ごもり需要や、SDGsの流れなどを受け、認知度が上がった印象があります。今まであまり伝統工芸品に興味がなかった方が手に取るきっかけにもなるのではないかなと思いました。

ありがとうございます。今のメインはゴルフマーカーですが、ブローチやヘアゴムなどのアクセサリー類も今後増やしていく予定です。今年はもっとサイズを小さくして、イヤリングやピアスも作ろうと考えています。そうすればより幅広い方に届くのではないかなと思っています。

店舗とEC、双方の満足度を高めたい

ー最後に、これから挑戦していきたいことについて教えてください。

いずれは店頭で販売している商品も出品できたらと思っています。

例えばお茶やコーヒーなど用途が幅広いカップは、人気商品となっています。

豆皿も人気です。数年前からは、よりお買い求めいただきやすい価格にするために、手書きではなく、釉薬(ゆうやく)というガラス質の膜のみで仕上げるようにしました。一個1,000円くらいなので、お土産として購入される方も増えました。

それ以外にも、今は店頭でしか買えないものをメルカリShopsに出していきたいですね。

ただ、どちらかが片手間になって、品揃えや在庫管理が疎かになるなどお客さまの信頼を損なうことが起こらないよう注意する必要があります。

その上で、店舗に足を運べない方にも「メルカリShopsで購入できますよ」と案内できるようになったらいいなと思います。

ー金継ぎ工房Mさん、ありがとうございました!

金継ぎ工房M-メルカリShops

(取材・文 / 篠原舞