海外市場への販路拡大を目指す法人や個人事業主にとって、越境ECはおすすめの選択肢となっています。しかし、言語や物流、法律などの壁がハードルとなり、始め方に悩む方も多いのではないでしょうか。本記事では、越境ECがなぜ今おすすめなのか、そして越境ECの基本から始め方、注意点、おすすめの出店先の選び方までを解説・ご紹介します。
越境ECとは?今おすすめされる理由と市場の可能性

インターネットの普及とグローバル化の進展により、国境を越えた商取引が身近になった現代において、越境ECは日本の事業者にとって大きなビジネスチャンスとなっています。海外には日本製品を求めるお客さまが数多く存在し、国内市場の縮小傾向とは対照的に、海外市場は拡大の一途をたどっています。
ここでは、越境ECの基本概念から市場動向、そして今なぜ注目すべきなのかを詳しく解説します。
越境ECの定義と基本的な仕組み
越境ECとは、インターネットを通じて国境を越えて商品やサービスを販売・購入する電子商取引のことを指します。具体的には、日本の事業者が自社のECサイトや海外のマーケットプレイスを通じて、海外のお客さまに向けて商品を販売する形態です。
越境ECの基本的な仕組みは、国内ECと比較するとやや複雑です。まず、商品の注文を受けた後、国際配送を行う必要があります。この際、各国の通関手続きや関税の支払いが発生します。また、決済方法も国によって異なり、現地で一般的な決済手段に対応することが求められます。
越境ECには主に3つの形態があります。1つ目は自社ECサイトを多言語化して海外からの注文に対応する方法、2つ目は海外のECモールに出店する方法、そして3つ目は越境EC事業者と提携して販売を代行してもらう方法です。
それぞれにメリット・注意点があり、自社の状況や目標に合わせて選択することが重要です。
世界と日本の越境EC市場の動向
世界の越境EC市場は急速に拡大しており、2025年現在もその成長は続いています。特にアジア太平洋地域が最大の市場となっており、中国、東南アジア諸国のお客さまによる越境ECの利用が顕著に増加しています。
日本の越境EC市場も着実に成長しています。経済産業省の調査によると、日本から海外への越境EC(輸出)の市場規模は年々拡大傾向にあり、特に化粧品、健康食品、アパレル、電子機器などの日本製品が海外で高い評価を受けています。主な輸出先は中国、台湾、香港、アメリカ、タイなどが中心となっています。
特筆すべきは、「メイド・イン・ジャパン」の信頼性と品質の高さが、海外のお客さまの間で高く評価されている点です。日本製品は安全性、機能性、デザイン性において優れているという認識が広まっており、これが日本からの越境ECの強みとなっています。
また、近年ではSNSの影響力も無視できません。インスタグラムやTikTokなどのSNSを通じて日本の商品が海外で注目を集め、それが越境ECでの購入につながるケースも増えています。特に若年層のお客さまは、SNSでの情報収集を経て越境ECで購入する傾向が強いため、SNSマーケティングと越境ECを組み合わせた戦略が効果的です。
さらに、新型コロナウイルスの世界的流行以降、非接触型のショッピング方法としてECの利用が世界中で加速し、その流れは越境ECにも波及しています。この傾向は今後も継続すると予測されています。
なぜ今、越境ECが注目されているのか
越境ECが現在特に注目されている理由はいくつかあります。まず第一に、日本国内の市場が少子高齢化により縮小傾向にある中、海外市場は依然として成長を続けているという点です。特にアジア諸国の中間層の拡大は、日本企業にとって大きなビジネスチャンスとなっています。
第二に、デジタル技術の進化により、越境ECの障壁が低くなっている点が挙げられます。翻訳技術の向上、国際物流の効率化、越境決済システムの発達などにより、以前は困難だった海外への販売が比較的容易になっています。
越境EC事業者を介せば販売側は通常の国内のお客さまに商品を販売する手順と同様の形で海外のお客さまへ自社商品を販売できるため、よりスムーズかつかんたんに越境販売に挑戦できます。
越境ECの始め方:初心者が知っておくべきおすすめステップ

越境ECを始めるには、国内ECとは異なる様々な準備や知識が必要です。ここでは、越境ECを始めるための基本的なステップを解説し、越境EC初心者の方でもスムーズに海外市場に参入できるようサポートします。
ステップ1:販売する国と商品を決める
越境ECを始める最初のステップは、どの国に向けて、どのような商品を販売するかを決めることです。この決断は、その後の戦略や必要な準備に大きく影響するため、慎重に検討する必要があります。
ステップ2:現地の法律や規制を確認する
越境ECを成功させるためには、ターゲット国の法律や規制を理解し、遵守することが不可欠です。
法的要件を無視すると、商品の通関拒否、罰金、さらには法的責任を問われるリスクがあります。
ステップ3:販売チャネルを選ぶ
越境ECを始める際に重要な決断の一つが、どの販売チャネルを選ぶかということです。選択肢は大きく分けて3つあり、それぞれに特徴とメリット・デメリットがあります。
1. 自社ECサイトの多言語化
自社のECサイトを多言語対応にして、海外からの注文を受け付ける方法です。
自社ブランドの構築やマーケティング戦略の自由度が高いこと、中間マージンがかからないため利益率を高く設定できることなどがメリットとなる一方、サイト構築や多言語対応のコストがかかること、集客を自力で行う必要があること、物流や決済、カスタマーサポートなどすべてを自社で対応する必要があることなどに注意が必要です。
2. 海外のECモールへの出店
海外の大手ECモールに出店する方法も選択肢の一つです。すでに多くのユーザーが利用しているプラットフォームであるため海外のお客さまの集客が比較的容易であること、モールが提供する決済システムや物流サービスを利用できることなどが挙げられます。一方で、出店料や販売手数料などのコストがかかること、競合が多く価格競争に巻き込まれやすいこと、モールのルールに従う必要があることなどの注意点があります。
海外ECモールへの出店を検討する場合は、まずターゲット国で人気のあるモールを調査し、出店条件や手数料体系を確認しましょう。また、各モールの特性や利用者層を理解し、自社商品との相性を考慮することも重要です。
3. 越境EC事業者との提携
越境EC専門の事業者と提携し、販売を代行してもらう方法です。この方法のメリットは、言語対応や物流、決済、カスタマーサポートなどの複雑な業務を専門事業者に任せられること、海外市場に関する知見やノウハウを活用できることなどが挙げられます。一方で手数料や代行料などのコストがかかること、自社ブランドの構築が難しい場合があることなどが注意点としてあります。
越境EC事業者との提携は、はじめて越境ECに取り組む事業者や、自社リソースが限られている事業者にとって、リスクを抑えながら海外市場に参入できる方法として注目されています。
ステップ4:物流と決済の準備を整える
越境ECで成功するには、海外のお客さまへの確実な商品配送と円滑な代金回収の仕組みが不可欠です。
越境EC事業者などを介さずに自社でお客さま対応を行う・または販売環境を構築する場合、海外発送体制、手数料、代金受け取りなど、多くの課題への対応が必要となる点は事前に把握しておきましょう。
越境ECで成功するためのおすすめポイントと注意点

越境ECは大きなビジネスチャンスを提供する一方で、国内ECとは異なる様々な課題も存在します。ここでは、越境ECで成功するために押さえておくべきポイントと、陥りがちな落とし穴について解説します。これらの知識を活かして、効果的な越境EC戦略を構築しましょう。
ターゲット市場の文化やニーズを理解する
越境ECで成功するためには、単に商品を海外に販売するだけでなく、ターゲット市場の文化や海外のお客さまのニーズを深く理解することが不可欠です。
文化的背景や消費習慣は国によって大きく異なり、これらを考慮せずに自国の常識で商品を販売しても、期待通りの成果を得ることは難しいでしょう。
言語対応とカスタマーサポートの重要性
海外のお客さまの理解は、越境ECにおける商品選定とマーケティング戦略の基礎です。ターゲット国がある場合はその国の文化的背景、例えば色彩や数字の持つ意味、宗教的タブーなどを把握する必要があります。中国で幸運を意味する赤色が、一部中東諸国では危険を意味したり、日本、中国、韓国で「死」を連想させる数字の「4」が避けられるのはその一例です。
文化的背景を考慮しないプロモーションや商品展開は、お客さまの反感を買い、ブランドイメージを損なう可能性があります。ターゲット市場の文化や習慣を事前に調査し、適切に配慮することが重要です。
関税や輸送コストを考慮した価格設定
越境ECにおいて、適切な価格設定は成功の鍵を握る重要な要素です。国内ECと異なり、越境ECでは関税や国際輸送コスト、為替レートなど、さまざまな追加コストが発生します。これらを考慮せずに価格設定を行うと、予想外の損失が生じたり、お客さま側に追加料金を請求することになり、顧客満足度の低下につながる可能性があります。言葉や文化も違うため、理解してもらうことも困難となる恐れがあり、そういった点におけるリスクも高いでしょう。
為替リスクとその対策
越境ECにおいて避けられないのが為替リスクです。商品の販売から代金回収までの間に為替レートが変動すると、予想外の損益が生じる可能性があります。
為替リスクには主に「取引リスク」「換算リスク」「経済的リスク」の3種類があり、それぞれ対策が必要です。
リスク軽減のため、価格設定では、為替変動を見込んだバッファーを持たせることや、定期的な価格見直しを行うことが重要です。また、為替予約や通貨オプションなどの金融商品を活用する方法もあります。
また、複数通貨での販売体制を整えたり、仕入れの一部を販売国の通貨で行うことで自然なヘッジ効果を得られます。中小企業や個人事業主の場合は、販売から代金回収までの期間を短くする、主要通貨での取引を基本とするなどの実践的なアプローチが有効でしょう。
適切な対策を講じることで、為替リスクを管理し、安定した越境EC運営を実現することができます。
気軽に越境ECに挑戦するなら越境EC事業者と連携したモールへの出店がおすすめ

越境ECに興味はあるものの、言語の壁や物流、法規制などの複雑な課題に不安を感じる方も多いのではないでしょうか。そんな方々にとって、越境EC事業者と連携したECモールへの出店は、リスクを最小限に抑えながら海外市場に参入できる理想的な選択肢です。
ここからは、越境EC事業者との連携がなぜおすすめなのか、そのメリットについて詳しく解説します。
越境EC事業者を介すため出店者側で海外市場に合わせる必要がない
越境ECの最大の障壁の一つは、海外市場特有の要件に対応する必要があることです。言語、法規制、商習慣、決済方法など、国によって大きく異なるこれらの要素に一から対応するのは、出店側にとって大きな負担となります。しかし、越境EC事業者と連携したモールに出店することで、これらの課題を大幅に軽減することができます。
越境EC事業者は、ターゲット国の言語に精通したスタッフを擁しており、商品説明の翻訳やカスタマーサポートを代行してくれます。また、各国の輸入規制や製品安全基準にも詳しく、通関手続きや関税の計算なども代行してくれるため、出店者は法的リスクを最小限に抑えることができます。
さらに、現地の商習慣や効果的なマーケティング戦略についてもアドバイスを受けられるものもあるため、海外市場に適した販売戦略を構築しやすくなります。国際決済や国際物流の構築も越境EC事業者が担当するため、出店者は国内の決済システムと物流網のみを整備すれば良く、初期投資や運営コストを大幅に削減できます。
日本国内のお客さまを相手する場合と同様の手順で海外のお客さまへ商品を販売できる
越境EC事業者と連携したモールの最大のメリットは、国内販売とほぼ同じ手順で海外のお客さまに商品を販売できる点です。通常、越境ECでは言語対応や国際物流、通関手続きなど複雑な業務が発生しますが、越境EC事業者と連携することでこれらの負担が大幅に軽減されます。
具体的には、商品登録から注文受付、発送までの一連の流れが国内販売とほとんど変わりません。出店者は日本語で商品情報を登録するだけで、越境EC事業者が適切に翻訳して海外のお客さまに紹介してくれます。注文が入った場合も、国内の指定住所に商品を発送するだけで、その後の海外発送や通関手続きはすべて越境EC事業者が代行します。
また、カスタマーサポートについても、海外のお客さまとのやり取りは越境EC事業者が担当するため、言語の壁を気にする必要がありません。返品や交換が発生した場合も、越境EC事業者を通じて対応できるため、国内取引と同様の感覚で対応可能です。
このように、越境EC事業者と連携したモールでは、特別なスキルや知識がなくても、普段の国内販売の延長として海外販売に挑戦できます。これにより、越境ECの敷居が大幅に下がり、多くの事業者が気軽に海外市場にアクセスできるようになっています。
越境EC事業者と連携したECモールを選ぶ際のおすすめポイント

越境EC事業者と連携したECモールへの出店を検討する際には、いくつかのポイントを確認することが大切です。適切なモールを選ぶことで、より効率的かつ効果的に海外市場に参入することができます。ここでは、モール選びの際に注目すべき3つのポイントについて解説します。
信頼できる越境EC事業者と連携しているか
越境ECの成功には、信頼できる越境EC事業者との連携が不可欠です。豊富な経験とノウハウを持ち海外市場に精通している越境EC事業者は、商品の適切な翻訳や現地のマーケティング戦略、効率的な物流ネットワークなど、質の高いサービスを提供してくれる可能性が高くなります。
越境EC事業者と連携する際に別途手数料が別途かからないか
越境ECを始める際のコスト管理は非常に重要です。モールへの出店料や販売手数料に加えて、越境EC事業者との連携に別途手数料がかかる場合があります。これらの追加コストが利益を圧迫する可能性があるため、事前に費用体系を確認することが大切です。
理想的なのは、越境EC事業者との連携に別途手数料がかからず、通常の販売手数料のみでサービスを利用できるモールです。また、商品が売れるまで一切の手数料が発生しないモールであれば、初期リスクを抑えながら越境ECに挑戦することができます。
越境販売をECで始めるならメルカリShopsがおすすめ!
越境ECに挑戦したいと考えている事業者の方々にとって自信をもっておすすめしたいのが、メルカリShopsへの参入です。メルカリShopsでは、越境EC事業者との公式連携により、かんたんかつリスクを抑えながら海外販売を手軽に始めることができます。ここでは、メルカリShopsが越境販売に最適である理由を詳しく解説します。
越境EC事業者との連携で出店者側の負担なく越境販売に挑戦できる
メルカリShopsなら、越境EC事業者との公式連携により、出店者側の負担なく越境販売への挑戦が実現できます。フリマアプリ「メルカリ」と公式連携した越境EC事業者が、メルカリを利用できない海外在住のお客さまの購入依頼を受け、メルカリShopsの出店者から商品を購入のうえ、海外に販売及び発送を行うサービスを提供しています。
出店者による商品の発送先は日本国内の指定の住所となるため、海外発送の手間や通関手続きの複雑さを心配する必要がありません。また、海外のお客さまとのコミュニケーション、輸出・通関等の手続きもすべて越境EC事業者が行うため、言語の壁を気にすることなく販売に集中できます。
国内最大規模のフリマアプリ「メルカリ」の市場とお客さま基盤を活かせる
メルカリShopsは、国内最大規模のフリマアプリ「メルカリ」の市場とお客さま基盤を活用できる点も大きな魅力です。メルカリは月間約2,200万人以上のお買い物を楽しむお客さまを抱えており、この巨大なアクティブユーザー基盤にアクセスできることは、新規出店者にとって非常に有利な条件となります。
商品が売れるまで一切の手数料が発生しないからあんしんして利用できる
メルカリShopsの大きな特徴の一つが、商品が売れるまで一切の手数料が発生しないという点です。
多くのECモールでは、出店料や月額固定費などの初期コストがかかりますが、メルカリShopsでは商品が売れた時のみ手数料が発生するため、初期投資のリスクを最小限に抑えることができます。
この料金体系は、特に越境ECを試験的に始めたい事業者にとって大きなメリットです。
売上が発生しない限りコストはかからないため、あんしんして様々な商品やマーケティング戦略を試すことができます。

国内のお客さまに向けても自社商品をアピールできる
メルカリShopsでは、海外のお客さまだけでなく、国内のお客さまにも同時に商品をアピールできる点も大きな魅力です。一つのプラットフォーム上で国内販売と越境販売の両方を展開できるため、運営の効率化が図れます。
さらに、国内と海外の両市場に同時にアプローチできることで、季節や流行の違いによる需要の波を平準化し、年間を通じて安定した売上を確保しやすくなります。例えば、日本では需要が落ち着いた季節商品が、気候の異なる海外では需要のピークを迎えているといったケースも考えられます。
便利な販促サービスを無料で活用できる
メルカリShopsでは、様々な販促サービスをすべて無料で活用できる点も大きなメリットです。商品の露出を高めるための機能や、リピーター獲得のための機能など、販売促進に役立つ機能が充実しています。
例えば、クーポン発行機能やタイムセール機能などを活用することで、効果的なプロモーションを展開できます。これらの販促サービスは、通常のECモールでは有料オプションとなっていることもありますが、メルカリShopsでは基本機能として無料で提供されているため、コストを抑えながら効果的に販売促進活動を行うことができます。
越境ECを始めるなら越境EC事業者を介した販売がおすすめ!

本記事では、越境ECの基礎知識から始め方、注意点、おすすめの出店先の選び方までを解説しました。
これから越境ECに取り組みたい方には、「越境EC事業者を介した販売」がおすすめです。言語の壁や複雑な物流、各国の法規制といった障壁も、専門家に任せることでスムーズに進められ、本業に専念することができます。
越境ECは一見ハードルが高く感じられますが、適切なパートナーやプラットフォームを選ぶことで、その壁は大きく下げられます。ぜひ自社に合った方法で、越境ECにチャレンジしてみてください。