グローバルなEC市場が拡大する中、日本の商品を世界へ届けるチャンスが広がっています。しかし、「何から始めれば良いのか」「どのECモールを選べば成功するのか」と悩む方も多いでしょう。この記事では、海外販売を検討しているEC事業者様や、これから海外展開を目指す方のために、ECモールを活用した海外販売の基本から、失敗しないためのポイント、そして各モールの比較まで、役立つ情報をお届けします。
ECモールを活用した海外販売の基本

国内のEC市場が成熟期を迎える中、多くの事業者が新たな成長機会を求めて海外市場に目を向けています。その第一歩として、海外販売向けのECモールを活用した販売、いわゆる「越境EC」は非常に有効な手段です。自社でゼロから海外向けの販売網を築くのではなく、すでに世界中のお客さまが集まるプラットフォームの力を借りることで、比較的低リスクかつスピーディーに海外展開を始めることが可能です。
ここでは、ECモールを活用した海外販売の基本的な考え方と、その魅力や課題について解説します。
海外販売を始めるメリットとデメリット
海外販売、すなわち越境ECに挑戦することは、あなたの事業に多くのメリットをもたらします。
まずいえる大きなメリットは、日本国内とは比較にならないほど広大なグローバル市場にアクセスできる点です。これにより、国内に限定した場合よりもさらなる売上の向上が期待できます。
また、日本では需要がニッチな商品でも、海外では大きなニーズがある場合や、日本の高品質な製品が、国内よりも高値で取引される可能性も秘めています。
さらに、季節が逆の南半球の国をターゲットにすれば、季節商品の販売期間を平準化できるといったメリットもあります。
一方で、デメリットとして「言語の壁」や、国によって大きく異なる「法規制や税務の複雑さ」、そして「国際配送のコストと手間」、さらには「為替変動のリスク」などが存在します。
これらのメリットとデメリットを総合的に勘案し、自社にとって海外展開が適切な戦略かどうかを慎重に判断することが重要です。
ECモールで海外販売を行うメリットとデメリット
自社単独で海外販売を始める際のデメリットの多くは、ECモールを活用することで軽減できます。海外展開に対応したECモールを利用する最大のメリットは、越境ECにおけるハードルを大幅に下げられる点です。
例えば、多言語対応のプラットフォームや多通貨決済システムが標準で備わっているサービスを利用すれば、言語や決済の壁を容易に乗り越えられます。また、モールによっては国際配送をサポートするプログラムなども用意されており、複雑な物流手続きを簡素化できます。
さらに、世界的に有名なECモールの看板を借りることで、海外のお客さまからの信頼を得やすく、集客面でも有利に働きます。
一方で、デメリットも存在します。国内モールと同様に、売上に応じた販売手数料が発生し、利益を圧迫する可能性があります。また、モールごとの規約に従う必要があり、自由なブランディングやプロモーションが制限されることもあります。
しかし、これらのデメリットを考慮してもなお、自社で全てを構築するのに比べて、遥かに手軽に海外販売をスタートできる点は、大きなメリットと言えるでしょう。
海外販売のECモールを選ぶ際の比較ポイント

海外販売への挑戦を決意し、ECモールを活用する方針が固まったら、次に最も重要なのが「どのプラットフォームを選ぶか」という問題です。
海外展開に対応したECモールは数多く存在し、それぞれに特徴、得意な地域、手数料体系が大きく異なります。自社の商材やターゲットとする国、事業規模に合わないモールを選んでしまうと、かけた労力やコストが無駄になりかねません。
ここでは、失敗しないECモール選びのために、必ず比較検討すべき重要な5つのポイントについて具体的に解説していきます。
ECモールの出店費用と手数料を比較
海外販売向けECモールを選ぶ際、まず比較すべきは費用面です。初期費用や月額の固定費用はもちろんのこと、商品が売れるたびに発生する販売手数料の料率は、事業の利益率に直結するため、最も重要な比較項目の一つです。
さらに、海外販売では、国内販売にはない為替手数料や、海外送金手数料といったコストも発生します。各モールがどのような為替レートで売上を計算し、どのタイミングで自社の口座に振り込んでくれるのか、その際の手数料はいくらか、といった詳細まで確認する必要があります。
表面的な手数料率だけでなく、これらの隠れたコストを全て含めたトータルコストでシミュレーションを行い、自社の事業計画に見合ったプラットフォームを選ぶことが、健全なキャッシュフローを維持する上で不可欠です。
対応言語と通貨
海外のお客さまに安心して買い物をしてもらうためには、その国の言語と通貨に対応していることが極めて重要です。お客さまが自分の国の言葉で商品説明を読み、自国の通貨で価格を把握し、決済できる環境は、購入率を大きく左右します。
越境販売をメインと考えてECモールを選ぶ際には、自社がターゲットとしたい国や地域の公用語に対応しているか、また、その国の通貨での表示・決済が可能かを必ず確認しましょう。一部のモールでは、自動翻訳機能を提供している場合もありますが、機械翻訳では不自然な表現になりがちです。より質の高い販売ページを目指すなら、別途プロの翻訳サービスを利用することも視野に入れる必要があります。お客さまにとっての利便性を最大限に高めることが、グローバル市場で成功するための基本です。
物流・配送サポート
海外販売における最大の難関の一つが、国際物流です。商品の梱包、インボイスなどの必要書類の作成、そして高額になりがちな国際配送料金の管理など、そのプロセスは非常に複雑です。
ECモールを選ぶ際には、この国際配送をどの程度サポートしてくれるかが重要な比較ポイントとなります。モールによっては、複数の配送業者と提携し、比較的安価な配送料金を提供していたり、追跡サービスのついた信頼性の高い配送方法をパッケージ化していたりします。
物流の負担をどれだけ軽減できるかが、事業の効率性と収益性を大きく左右します。
カスタマーサポート体制
海外のお客さまとの間では、時差や言語、文化の違いから、国内販売以上に予期せぬ問い合わせやトラブルが発生しやすくなります。そんな時に頼りになるのが、ECモールのカスタマーサポート体制です。出店者向けのサポートとして、海外販売特有の疑問やトラブルについて、日本語で相談できる窓口があるかは非常に重要なポイントです。
また、お客さま向けのサポートとして、多言語対応のコールセンターやチャットサポートが充実しているかも確認しましょう。プラットフォーム側でお客さまからの一次対応を行ってくれる場合、事業者の負担は大幅に軽減されます。24時間体制のサポートを提供しているモールもあり、グローバルにビジネスを展開する上での安心材料となります。
集客力とターゲット層
各ECモールは、それぞれに得意とする国や地域、そしてユーザー層が異なります。自社がターゲットとする国で、そのモールがどれだけの知名度と集客力を持っているかを見極めることが重要です。モールのサイトで、自社と同じカテゴリーの商品がどれだけ活発に取引されているか、どのような店舗が人気を集めているかを調査するのも有効な方法です。自社の商品と、モールが抱えるお客さまのニーズが合致して初めて、ECモールの強力な集客力を最大限に活用することができるのです。
主要なECモールを徹底比較

海外販売を始めるにあたり、どのプラットフォームを主戦場とするかを選ぶことは、事業の成否を左右する重要な決断です。世界には、それぞれ異なる特徴と強みを持つ巨大なECプラットフォームが複数存在します。ここでは、特に多くの日本の事業者に利用されている代表的な選択肢として「Amazon」「eBay」、そして特殊な立ち位置である「Shopify」を取り上げ、それぞれの概要とビジネスモデル、どのような事業者に向いているかを具体的に解説していきます。
Amazonでの海外販売
Amazonでは、1つのセラーセントラル(Amazonで商品を販売する出品者が利用する管理画面)で各マーケットプレイスに出品/登録が可能で、マーケットプレイス毎に商品を分けて出品できます。また、複数の国において割引価格で出品できるオプションを提供しています
引用:Amazon海外販売(越境EC) | Amazon出品サービスの販促方法
eBayでの海外販売
eBayは、世界190カ国以上で展開し、約1.34億人のバイヤー(購入者)を持つオンラインマーケットプレイスです。日本の事業者は「eBay Japan」を通じて、日本語のサポートを受けながら海外販売を始めることができます。
引用:【公式】eBayの越境ECで、国境を越え世界へ。|イーベイ・ジャパン(eBay Japan)
Shopifyでの海外販売(ECサイト構築プラットフォーム)
Shopifyは、AmazonやeBayのような商品を売買する市場(マーケットプレイス)ではなく、事業者自身が独自のネットショップを構築するためのプラットフォームです。
専門知識がなくてもデザイン性の高い自社ECサイトを作成でき、海外販売に必要な機能を実装できるとされています。
ただし、あくまで自社サイトを構築するツールであるため、集客はすべて自力で行う必要がある点は、ECモールとの大きな違いです。
引用:Shopify
海外販売を取り扱うプラットフォーム一覧比較
越境ECを実現されたい方に向けて、プラットフォーム選びの参考となるよう、主要サービス各社を「海外販売(越境EC)」の視点で比較しました。
プラットフォーム | 料金 | サービス概要 |
---|---|---|
メルカリShops | 出店料・越境EC利用手数料は無料 ・売上金の10%が販売手数料 ・販売利益の振込時、1回につき200円の振込手数料 | メルカリShops内での購入・販売フローは通常の取引と変わらず、出店者側で特別な対応は一切不要。 メルカリと公式連携した越境EC事業者が、メルカリを利用できない海外在住のお客さまの購入依頼を受け、メルカリShopsの出店者から商品を購入のうえ、海外に販売及び発送を行う。海外のお客さまとのコミュニケーション、海外への発送、輸出・通関等の手続は、すべて越境EC事業者が行う。 出店者による商品の発送先は日本国内の指定の住所となる。 |
Amazon | フルフィルメント by Amazonを利用する場合:月額4,900円(税抜) + 販売手数料 ※Amazonグローバルセリングで複数国のアカウントを統合した場合、月間登録料が上限39.99米ドル(またはそれ以下の登録料の合計額)となるため、4,900円より安くなる可能性があります。 | 出品したい国を選択し出品用アカウントを作成する。発送は、「出品者による出荷」「フルフィルメント by Amazonを利用しての出荷」「商品在庫の輸入と輸出」のいずれかの方法で発送。 |
eBay | 【ストア手数料】スターターストアプラン:4.95~ USD/月、ベーシックストアプラン:21.95~USD/月、プレミアムストアプラン:59.95~USD/月、アンカーストアプラン:299.95~USD/月、エンタープライズストアプラン:2,999.95~USD/月 【出品手数料】出品形式(固定価格形式/オークション形式)や、商品カテゴリーなどに応じて出品手数料 【落札手数料】 出品した商品のカテゴリーに応じて、売上総額に対する割合(パーセント)で算出された金額に、取引1件あたり$0.40($10.00以下の取引の場合は$0.30)が加算 +居住国以外への販売時に1.35%の海外決済手数料が課されます。 | 世界各地でサービスを展開しているため複数国への出品が可能。 |
Tmall | 要問い合わせ | 中国市場に特化した独自のオンライン販売プラットフォーム。3億人の中産階級消費者層にアプローチし、中国市場におけるビジネス成長を加速させることが可能。 |
Shopee Japan | 出店無料 セラーの設定するプロモーション(セラー負担のバウチャーや割引価格設定など)が適用された後の販売価格に、販売手数料率をかけて算出 | Shopeeは東南アジア・台湾で最大規模のEコマースプラットフォーム。 |
Shopify | ・Basic:4,850円/月 ・Grow:13,500円/月 ・Advanced:58,500円/月 ・Plus:$2,300/月(3年契約) ※一部のプランにおいて年払いの場合は25%オフが適用されます | 海外に商品を発送する際の送料の設定や、関税などの税金の計算、送り状やインボイスの作成などの煩雑な作業を簡単にできる。50か国語以上で注文確認や配送確認などに使えるメール通知のテンプレートが用意されている。 |
記載の情報は2025年7月現在の情報です。最新の情報は各社公式ページにてご確認ください。
メルカリShops:越境販売とは – メルカリShopsガイド
Amazon:Amazon海外販売方法 | Amazon海外販売・Amazon海外販売(越境EC) | Amazon出品サービスの販促方法・越境ECとは?日本企業や個人が海外販売を始めるメリット
eBay:料金について
Tmall:Tmall Global Flagship Store
Shopee Japan:google-cpc-leadgen ・各種手数料(コミッション)について
Shopify:越境ECの始め方とShopifyで海外販売を始める方法 ・Shopifyの料金プラン – 各プランの詳細情報と比較 – 無料体験
ECモールで海外販売をはじめるならメルカリShopsがおすすめ!

海外販売には多くの選択肢がありますが、「出店者側の手間とコストをできるだけ抑える形で海外販売に挑戦したい」と考える法人や個人事業主の方にとって、メルカリShopsはぜひ検討いただきたい選択肢のひとつとなります。
国内と同じ手数料で越境販売に挑戦できる
海外販売を始める際、プラットフォームによっては海外向けの特別なプランへの加入や、国内販売とは異なる高い手数料率が設定されていることがあります。
しかし、メルカリShopsでは、海外のお客さまに商品を販売する場合・また、商品が売れた場合でも、国内のお客さま相手に販売する場合と同様の流れと手数料でご利用いただけます。追加のシステム利用料や特別な販売手数料はかかりません。
出店者側の負担なしで海外のお客さまに商品をお届けできる
メルカリShopsは複数の越境EC事業者と公式に連携しており、海外のお客さまからの注文が入ると、これらの提携事業者が代理で商品を購入します。
出店者が行うのは、代理購入した国内の越境EC事業者宛に商品を発送するだけです。その後の、検品、海外向けの梱包、国際配送手続き、そして海外のお客さまからの問い合わせ対応まで、提携事業者が代行してくれます。
月間約2,300万人がお買い物を楽しむフリマアプリ「メルカリ」の市場でEC運営が実現できる
メルカリShopsの越境販売は、海外市場だけに特化するものではありません。その基盤にあるのは、月間約2,300万人のお客さまが利用する、日本国内の巨大なフリマアプリ「メルカリ」の市場です。
ECモールで海外販売を成功させるための戦略

海外販売向けのECモールを選び、出店準備が整ったとしても、それだけで成功が保証されるわけではありません。国境を越えたお客さまに商品を選んでもらうためには、国内販売の常識にとらわれない、グローバルな視点での運営戦略が不可欠です。
ここでは、海外販売を成功へと導くために押さえておくべき、商品選定からマーケティング、顧客対応に至るまでの重要な戦略を解説します。
商品選定と価格設定の重要性
海外販売で成功するための第一歩は、「海外で需要のある日本製品」を見極めることです。高品質な文房具、精巧なフィギュアやアニメグッズ、伝統的な工芸品、あるいは日本製の化粧品や健康食品など、「Made in Japan」ブランドは世界的に高い評価を受けています。現地のSNSや市場調査レポートなどを参考に、自社の強みを活かせる商品を選定しましょう。
次に重要なのが価格設定です。商品の本体価格に加えて、高額になりがちな国際送料、そして相手国で発生する可能性のある関税や消費税を考慮する必要があります。これらのコストを全て含めても、お客さまが「その価値がある」と感じるような、納得感のある価格を設定することが重要です。
競合商品の価格も参考にしつつ、戦略的な値付けを行いましょう。
魅力的な商品ページの作成方法
言語や文化が異なる海外のお客さまに商品の魅力を伝えるためには、国内向け以上に分かりやすく、魅力的な商品ページの作成が求められます。
商品説明文は、単に翻訳ツールにかけるだけでなく、現地の文化や言い回しを理解しているネイティブスピーカーにチェックしてもらうのが理想です。商品の特徴やメリットが、誤解なく、かつ魅力的に伝わる言葉を選びましょう。
また、写真は言語の壁を越える最も強力なツールです。高解像度で、様々な角度から撮影した鮮明な商品写真は必須です。商品のサイズ感が分かるように、コインや定規などを一緒に写したり、実際に使用しているシーンの動画を用意したりすることも、お客さまの理解を助け、購買意欲を高める上で効果的です。
プロモーション・マーケティング戦略
海外のお客さまに自社のショップや商品を知ってもらうためには、積極的なプロモーション戦略が欠かせません。たとえば、ターゲットとする国の文化や祝祭日を理解し、それに合わせたキャンペーンを計画することも有効です。アメリカであれば11月のブラックフライデーやサイバーマンデー、中華圏であれば旧正月や独身の日(11月11日)といった、大きな商戦期に合わせてセールや割引クーポンを提供することで、大きな売上増が期待できます。
また、現地の人気インフルエンサーに商品レビューを依頼するマーケティング手法も非常に強力です。彼らが持つ影響力を通じて、一度に多くの潜在的なお客さまにリーチし、商品の信頼性を高めることができます。
顧客対応とリピーター獲得の秘訣
海外販売において、お客さまとの信頼関係を築き、リピーターになってもらうことは、事業を安定させる上で極めて重要です。その鍵を握るのが、迅速で丁寧な顧客対応です。時差があるため、24時間以内には必ず返信するなど、独自のルールを設けておくと良いでしょう。問い合わせには、翻訳ツールを活用しつつも、誠意が伝わるような丁寧な言葉遣いを心がけます。
また、無事に商品が届いたかを確認するフォローアップのメッセージを送ったり、次回の購入で使える割引クーポンを同梱したりするのも、リピートを促す有効な施策です。
国境を越えた心のこもったコミュニケーションが、お客さまに特別な満足感を与え、長期的なファンを育てていくのです。
海外販売における法的規制と注意点

海外販売は、国内でのビジネスとは異なり、国境を越えるがゆえに遵守すべき様々な法的な規制や手続きが伴います。これらのルールを理解せずに事業を進めてしまうと、税関での荷物の没収や罰金、お客さまとの深刻なトラブルに発展しかねません。「知らなかった」では済まされない重要なポイントを事前に把握し、クリーンな事業運営を心がけることが不可欠です。
ここでは、海外販売を行う上で最低限知っておくべき法規制や税金に関する注意点を解説します。
輸出入に関する規制と手続き
商品を海外に輸出する際には、まず日本側の輸出規制と、相手国側の輸入規制の両方を確認する必要があります。
特に、ワシントン条約で規制されている動植物を使用した製品や、特定の食品、化粧品、化学物質などは、輸出入が禁止または制限されている場合があります。自社の商品がこれらの規制に該当しないか、事前に必ず確認しましょう。
また、商品を発送する際には、「インボイス」という貨物の内容を記した書類の作成が必須となります。インボイスには、商品の品名、数量、価格、原産国などを正確に記載する必要があります。
この記載に不備があると、通関で遅延やトラブルの原因となるため、細心の注意が必要です。
関税・消費税について
海外に商品を販売する際、税金に関する正しい知識は不可欠です。
まず、日本の商品を海外へ輸出する場合、日本の消費税は免除されます。これを「輸出免税」と呼び、適用を受けるためには、輸出許可書などの証明書類を保管しておく必要があります。次に、商品が相手国に到着した際には、その国の法律に基づいて「関税」や「消費税(付加価値税など)」が課される場合があります。この税金をどちらが負担するかをあらかじめ決めておくことが重要です。
多くの場合、受取人であるお客さまが負担しますが、その旨を商品ページに明記しておかないと、「聞いていない費用を請求された」というクレームの原因になります。国によっては一定額以下の輸入品には免税措置(デミニマス値)があるため、ターゲット国の制度を調べておくと良いでしょう。
返品・返金ポリシーの設定
国内販売以上に、海外販売では返品・返金に関するポリシーを明確に定めておくことが重要です。なぜなら、海外から日本への返送料は非常に高額になることが多く、安易に返品を受け付けてしまうと、大きな損失に繋がりかねないからです。
どのような条件下であれば返品を受け付けるのか(例:商品不良の場合のみ)、その際の返送料はどちらが負担するのか、返金は商品代金のみか送料も含むのか、といった点を具体的かつ詳細に定めた「返品・返金ポリシー」を作成し、商品ページやショップの紹介ページに英語などの外国語で分かりやすく記載しておく必要があります。
このポリシーを事前に明示しておくことで、お客さまとの間の無用なトラブルを防ぎ、万が一の際にもスムーズな対応が可能になります。
海外販売でよくある課題と解決策

海外販売には大きな可能性がありますが、同時に、国内販売にはない特有の課題も存在します。言語、配送、そして文化の違い。これらの壁は、多くの事業者が直面するものですが、適切な知識と準備があれば乗り越えることは十分に可能です。
ここでは、海外販売でよくある典型的な課題と、それらに対する具体的な解決策を紹介します。事前に課題を予測し、対策を立てておくことで、安心してグローバルビジネスに取り組むことができます。
言語の壁への対応
海外販売における最大の課題は、やはり「言語の壁」です。お客さまとのコミュニケーションや商品説明において、正確かつ自然な外国語が求められます。
この課題に対しては、複数の解決策を組み合わせて対応するのが効果的です。まず、Google翻訳などの無料の翻訳ツールは、簡単な意思疎通の第一歩として非常に役立ちます。ただし、機械翻訳特有の不自然さは残るため、重要な商品説明や定型的なお客さまへの案内文などは、プロの翻訳サービスを利用したり、現地の言語に堪能なスタッフに依頼したりして、自然な文章を作成しておくのが理想です。また、よくある質問とその回答(FAQ)を多言語で用意しておくことで、個別の問い合わせ件数を減らすこともできます。
配送トラブルへの対処法
国際配送では、国内配送に比べて荷物の紛失、破損、大幅な遅延といったトラブルが発生するリスクが高まります。
これらの配送トラブルへの対処法として、まず最も重要なのは、信頼性の高い配送方法を選択することです。料金が多少高くても、荷物の追跡(トラッキング)サービスが付いている配送方法を選ぶことで、荷物の現在地を把握でき、お客さまにも安心感を与えることができます。また、高価な商品を発送する際には、万が一の事態に備えて配送保険に加入しておくことを強く推奨します。
トラブルが発生してしまった際には、隠さずに誠実にお客さまへ状況を説明し、代替品の再送や返金など、迅速な対応を心がけることが、ショップの信頼を維持する上で不可欠です。
文化や習慣の違いによる顧客対応のポイント
国が違えば、文化や商習慣も異なります。この違いを理解せずに国内と同じ感覚で対応してしまうと、思わぬクレームに繋がることがあります。
例えば、日本では当たり前の丁寧な梱包が、海外では過剰包装と捉えられたり、商品のサイズ表記がセンチメートル(cm)ではなくインチ(inch)で認識されていたりします。また、クレームに対する考え方も異なり、日本ではまず謝罪を求められることが多いですが、欧米では問題の原因と具体的な解決策を論理的に説明することが重視される傾向にあります。
ターゲットとする国の文化や国民性について事前に学習し、相手の価値観を尊重したコミュニケーションを心がけることが、円滑な顧客対応と良好な関係構築の鍵となります。
まとめ:ECモールを活用して海外ビジネスを拡大しよう

この記事では、ECモールを活用した海外販売の基本から、具体的な戦略、そして避けては通れない注意点や課題の解決策まで、幅広く解説してきました。言語や物流、法規制など、海外販売には確かに多くのハードルが存在します。
しかし、海外販売に対応したECモールなどのプラットフォームを賢く活用することで、これらのハードルは下がり、海外展開はもはや一部の大企業だけのものではなく、意欲ある事業者にとって現実的な選択肢となっています。
この記事を参考に、自社に最適な方法を見つけ出し、日本の優れた商品を世界中のお客さまに届け、あなたのビジネスをグローバルに拡大させる第一歩をぜひ踏み出してみてください。