法人が古物商許可を取得するには、適切な手続きと書類の準備が必要です。本記事では、申請の流れや必要書類、審査のポイントを詳しく解説し、スムーズに許可を取得するための重要な情報を提供します。
本記事で取り扱う内容は、2025年3月現在での警視庁の古物営業に関連するページを参考に作成しています。最新の情報は警視庁各種ページにてご確認ください。
引用:古物営業 警視
古物商許可とは

古物商許可とは、中古品(古物)を取り扱うビジネスを行うために必要な公的な許可制度です。法人・個人を問わず、古物の売買や交換を業として行う場合には、管轄の公安委員会から許可を受ける必要があります。この許可制度は、盗品等の売買防止と速やかな発見を目的としており、健全な中古品取引の基盤となる重要な制度です。
古物商許可を持たずに古物営業を行うと、法律違反となり罰則の対象になるため、ビジネスを始める前に必ず取得しておく必要があります。
古物商の定義と対象となる取引
古物商とは、古物営業法に基づき、古物(中古品)を売買または交換する営業を行う者を指します。ここでいう「古物」とは、一度使用された物品や使用されない物品で使用のために取引されたもののうち、政令で定められた物品を指します。
具体的な古物の種類としては、以下のようなものが含まれます
- 美術品類(絵画、彫刻、工芸品など)
- 衣類(洋服、和服、下着など)
- 時計・宝飾品類(腕時計、ネックレス、指輪など)
- 自動車(中古車、部品など)
- 自転車類
- 家電製品類(テレビ、冷蔵庫、パソコンなど)
- 書籍類(本、雑誌など)
- 音楽・映像ソフト類(CD、DVD、レコードなど)
- スポーツ・レジャー用品(ゴルフクラブ、スキー用品など)
- 事務機器類(コピー機、ファックスなど)
古物商の営業形態には、実店舗での販売だけでなく、インターネットオークション、フリマアプリ、ECサイトでの販売も含まれます。また、「業として行う」とは、営利目的で反復継続して取引を行うことを意味し、一時的な取引や個人間の単発的な取引は含まれません。
法人が古物商許可を取得する必要があるケース
法人が古物商許可を取得する必要があるケースは多岐にわたります。
以下のような事業を行う法人は、古物商許可の取得が必要となります。
- 中古品専門店の運営:リユースショップ、古着屋、中古書店、中古家電販売店など、中古品を専門に取り扱う店舗を運営する場合
- オンラインでの中古品販売:ECモールや自社ECサイトなどのオンライン形態を通じて中古品を販売する場合
- 買取専門ビジネス:買取専門店や出張買取サービスなど、古物の買取のみを行うビジネス
- リサイクルショップの運営:家電、家具、衣類などのリサイクル品を取り扱うショップの運営
- 不用品回収業と併せて中古品販売:不用品回収業を営みながら、回収した物品の中で再販可能なものを販売する場合
- オフィス機器のリースや販売を行う企業:中古のオフィス機器(コピー機、パソコンなど)の販売やリースを行う場合
- 自動車販売会社:中古車の販売を行う場合(自動車古物商許可が必要)
- 質屋業と併せて中古品販売:質屋として営業しながら、流れた品物を販売する場合(質屋営業法に基づく許可も必要)
- 古物の交換を行うビジネス:古物と古物、または古物と新品の交換を業として行う場合
- 法人の副業として中古品販売:本業とは別に、中古品販売を副業として行う場合
法人が古物商許可を取得するための条件

法人が古物商許可を取得するためには、法人自体の要件、役員・管理者の要件、そして事業所の要件という3つの観点から条件を満たす必要があります。これらの条件を満たしていない場合、申請が却下される可能性があるため、事前にしっかりと確認しておくことが重要です。古物営業法に基づく条件を満たし、適切に申請を行うことで、スムーズに許可を取得することができます。
法人の要件
法人が古物商許可を取得するためには、法人自体が一定の要件を満たしている必要があります。以下に主な要件を説明します。
法人格の存在
申請時点で法人登記が完了しており、法人格が存在していることが必要です。設立登記前の法人は申請できません。法人の種類(株式会社、合同会社、NPO法人、一般社団法人など)による制限はありませんが、法人として正式に登記されていることが条件です。
欠格事由に該当しないこと
法人自体が古物営業法第4条に定める欠格事由に該当していないことが必要です。例えば、過去に古物営業法違反で罰金刑を受け、その執行が終わってから5年を経過していない法人は許可を受けることができません。
本店所在地の実在性
法人登記上の本店所在地が実在し、実際に事業活動が行われる場所であることが必要です。いわゆる「バーチャルオフィス」のみを本店所在地としている場合、追加の説明や書類が求められることがあります。
役員・管理者の要件
法人が古物商許可を取得する際には、役員及び古物営業の管理者が一定の要件を満たしている必要があります。以下にその詳細を説明します。
欠格事由に該当しないこと
役員(取締役、執行役、理事など)および古物営業管理者は、古物営業法第4条に定める欠格事由に該当してはいけません。主な欠格事由には以下のようなものがあります。
- 成年被後見人、被保佐人、または破産者で復権を得ていない者
- 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
- 古物営業法、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律などの法律に違反し、罰金刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
- 暴力団員または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
管理者の選任
各営業所ごとに、古物営業を管理する者(古物営業管理者)を選任する必要があります。古物営業管理者は、その営業所における古物の取引等を適正に管理・監督する責任を持ちます。
古物営業管理者には特別な資格や経験は法律上要求されていませんが、以下の条件を満たす必要があります。
- 欠格事由に該当しないこと
- 実際にその営業所に常勤していること
事業所の要件
法人が古物商許可を取得するためには、古物営業を行う事業所(営業所)が一定の要件を満たしている必要があります。以下に事業所に関する主な要件を説明します。
実在する物理的な場所であること
営業所は、実際に存在する物理的な場所である必要があります。バーチャルオフィスやレンタルポストのみの住所では、原則として許可が下りません。実際に営業活動が行える場所であることが求められます。
営業実態が確認できること
営業所には、古物営業を行うための最低限の設備や体制が整っていることが必要です。例えば、古物の保管場所、取引記録を管理するための事務機器、連絡用の電話などが設置されていることが望ましいです。
適切な表示
許可取得後は、営業所の外部から見える場所に「古物商標」(許可証に記載された許可番号を含む標識)を掲示する必要があります。この表示スペースが確保できることも要件の一つです。
インターネット専業の場合
実店舗を持たずにインターネット上のみで古物営業を行う場合でも、事業の拠点となる物理的な場所(事務所など)が必要です。この場所が営業所として申請対象となります。
古物商許可の申請手続き

古物商許可の申請手続きは、法人にとって重要なステップです。ここからは、法人が古物商許可を申請する際の具体的な手続きについて詳しく解説します。適切な準備と正確な申請により、トラブルなく許可を取得しましょう。
申請先(管轄の警察署)
古物商許可の申請は、営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会に対して行います。実際の申請窓口は、多くの場合、営業所を管轄する警察署の生活安全課(または防犯課)になります。
必要書類
古物商許可の申請には、法人の種類や営業内容によって様々な書類が必要となります。ここでは、申請に必要な書類の概要を説明します。
なお、管轄の警察署によって若干の違いがある場合がありますので、必ず事前に確認することをお勧めします。
法人としての必要書類
法人が古物商許可を申請する際には、法人としての基本的な書類が必要です。これらの書類は、法人の実在性や事業内容を証明するためのものです。
- ・古物商許可申請書
-
公安委員会指定の申請書に必要事項を記入します。法人の基本情報(名称、所在地、代表者名など)や取り扱う古物の種類、営業所の情報などを記載します。
- ・登記事項証明書(履歴事項全部証明書)
-
法務局で発行される法人の登記簿謄本です。申請日前3ヶ月以内に発行されたものが必要です。
- ・定款
-
法人の目的や組織、活動内容を定めた基本規則です。
役員・管理者に関する必要書類
法人の役員および古物営業管理者に関する書類も提出が必要です。これらの書類は、役員や管理者が古物営業法上の欠格事由に該当しないことを確認するためのものです。
- ・役員・管理者全員の住民票
-
役員(取締役、監査役、執行役など)と古物営業管理者全員の住民票が必要です。申請日前3ヶ月以内に発行されたもので、本籍地の記載があるものが求められます。マイナンバー(個人番号)の記載がないものを取得してください。
- ・役員・管理者全員の身分証明書
-
役員と管理者全員の身分証明書が必要です。(根拠 古物営業法施行規則第1条の3第3項第2号ハ)
- ・誓約書
-
役員と管理者全員が、欠格事由に該当しないことを誓約する書類です。公安委員会指定の様式がある場合はそれを使用します。
事業所に関する必要書類
古物営業を行う事業所(営業所)に関する書類も提出が必要です。これらの書類は、営業所が実在し、古物営業を行うための適切な環境が整っていることを証明するためのものです。
- ・営業所の位置図
-
営業所の所在地が明確にわかる地図を提出します。
- ・営業所の平面図
-
営業所内部のレイアウトがわかる平面図を提出します。平面図には、古物の保管場所、事務スペース、出入口などを明記します。
- ・営業所の外観・内観写真
-
営業所の外観と内部の様子がわかる写真を数枚提出します。
- ・営業所の賃貸借契約書(賃貸物件の場合)
-
営業所が賃貸物件の場合、賃貸借契約書のコピーが必要です。
申請費用
古物商許可の申請にはいくつかの費用がかかります。主な費用項目は以下の通りです。
許可申請手数料
古物商許可の申請時に必要な手数料です。全国一律で19,000円(2024年3月現在)です。この手数料は、収入証紙で納付する場合が多いですが、都道府県によっては現金納付の場合もあります。
書類取得費用
申請に必要な各種証明書の取得費用です。主な費用の目安は以下の通りです。
- 登記事項証明書:約600円/通
- 印鑑証明書:約450円/通
- 住民票:約300円/通
- 身分証明書:約300円/通
- 登録証明書(破産者でないことの証明書):約400円/通
その他費用
- 写真撮影費用
- 書類コピー代
- 郵送料(必要に応じて)
申請から許可取得までの流れと期間
一般的には、申請書類の提出から許可証の交付まで約1から2ヶ月程度かかります。ただし、以下の要因によって期間が延びることがあります。
- 書類に不備がある場合
- 繁忙期(年度末など)に申請した場合
- 審査過程で追加の調査や書類提出が必要になった場合
- 複雑な事業形態や特殊な申請内容の場合
古物商許可取得後の義務と注意点

古物商許可を取得したら、古物営業法に基づいて様々な義務を守る必要があります。これらの義務を怠ると、許可の取り消しや罰則の対象となる可能性があるため、しっかりと理解しておきましょう。ここでは、許可取得後に法人が遵守すべき主な義務と注意点について解説します。
インターネット取引に関する義務
インターネット上で古物の取引を行う場合、事前に販売ページのURLを所轄警察署へ届け出る義務があります。
また、ネット上の自社ページには「公安委員会名」「許可番号」「古物商の氏名または名称」を表示して、相手方に許可を受けている古物商であることを明示しなければなりません。
これを怠ると無許可営業とみなされるおそれがあります。
営業開始後の届出・変更手続き
古物商許可取得後、営業内容や法人情報に変更があった場合は、所定の期間内に届出を行う必要があります。主な届出・変更手続きは以下の通りです。
届出を怠ると、行政処分や罰則の対象となる可能性があるため、変更があった場合は速やかに手続きを行いましょう。
営業開始届
古物商許可を取得してから6ヶ月間営業を始めなければ、許可を取り消される可能性があります。
変更届
届出の内容に変更が生じた場合、当該変更の日から14日(届出書に登記事項証明書を添付すべき場合にあっては、20日)以内に届出の提出が必要です。
廃業した場合
古物営業を廃止した場合は、営業所を廃止した日から10日以内に古物商許可証を返納する手続を行います。
帳簿の作成と管理
古物商は、古物の取引について帳簿を作成し、保管する義務があります。帳簿の作成・管理に関する主なルールは以下の通りです。
帳簿の作成・管理は、古物営業法の中でも特に重要な義務の一つです。盗品等の売買防止と早期発見のために、取引の記録を正確に残すことが求められています。
記載事項
帳簿には以下の事項を記載する必要があります。
- 取引年月日
- 古物の品目及び数量
- 古物の特徴(製造番号、記号など)
- 相手方の住所、氏名、職業、年齢
- 相手方の確認方法(身分証明書の種類と番号など)
帳簿の形式
帳簿は、紙媒体のほか、一定の条件を満たせば電子データによる管理も認められています。ただし、電子データで管理する場合も、必要に応じて印刷して提示できるようにしておく必要があります。
帳簿の保存期間
帳簿は、最終記載日から3年間保存する必要があります。
帳簿の提示義務
警察官の請求があった場合は、帳簿を提示する義務があります。
古物の取り扱いに関するルール
古物商は、古物の取引に際して以下のようなルールを守る必要があります。
取引相手の確認義務
古物を買い受けるときは、相手方の住所、氏名、職業などを確認し、身分証明書などで本人確認を行う必要があります。確認した内容は帳簿に記載します。
古物の確認義務
買い受けた古物について、盗品等の疑いがある場合は、直ちに警察署に申告する義務があります。
古物の保管義務
買い受けた古物は、一定期間(通常は1週間)は他の古物と区別して保管する必要があります。ただし、古物の種類や取引形態によって例外があります。
品触れの確認義務
警察から盗品等に関する「品触れ」(盗難品等の通知)が出された場合は、これを確認し、該当する古物を発見した場合は速やかに警察に申告する義務があります。
古物の取り扱いルールを遵守することで、盗品等の売買防止に協力し、健全な古物営業を行うことが求められています。
法人向け古物商許可の注意点

法人が古物商許可を取得・維持する際には、個人事業主と異なる注意点があります。また、許可の取り消しや法令違反時のペナルティについても理解しておく必要があります。ここでは、法人特有の注意点について解説します。
個人と法人の違い
古物商許可において、個人事業主と法人では以下のような違いがあります。
申請書類の違い
法人の場合は、登記事項証明書や定款、法人印鑑証明書など、法人特有の書類が必要です。また、全役員分の住民票や身分証明書などが必要となります。
欠格事由の適用範囲
法人の場合、法人自体だけでなく、役員全員が欠格事由に該当しないことが求められます。役員が一人でも欠格事由に該当すると、許可が下りない場合があります。
変更手続きの違い
法人の場合、役員の変更や法人名称の変更など、個人事業主にはない変更事項があります。これらの変更時には、所定の届出が必要です。
管理体制の違い
法人の場合、営業所ごとに古物営業管理者を選任する必要があります。この管理者は、その営業所で古物営業を適正に管理・監督する責任を持ちます。
定款上の目的との整合性
法人の場合、定款に記載された事業目的と古物営業の内容が整合していることが望ましいです。必要に応じて、定款の変更を検討する必要があります。
許可の取り消し・違反時のペナルティ
古物営業法に違反した場合、以下のようなペナルティが課される可能性があります。
行政処分
- 営業停止命令
- 許可の取り消し
罰則
- 無許可営業:3年以下の懲役または100万円以下の罰金
- 名義貸しの禁止違反:2年以下の懲役または50万円以下の罰金
- 帳簿等の備付け義務違反:6月以下の懲役または30万円以下の罰金
- 届出義務違反:30万円以下の罰金
許可取り消しの主な事由
- 欠格事由に該当するようになった場合
- 不正な手段で許可を受けた場合
- 古物営業法や関連法令に違反した場合
- 公安委員会の処分に違反した場合
両罰規定
法人の代表者や従業員が違反行為を行った場合、行為者本人だけでなく、法人自体も罰せられる「両罰規定」が適用されます。
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