ネットショップを運営する際に、商品の販売価格に悩んでいる方も多いのではないでしょうか。販売価格を丁寧に決めることは、利益を多く得ることができるとともに、お客さまにとっても重要な点です。この記事では、販売価格を決めるために必要な知識やポイント、テクニックまで詳しく解説します。
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販売価格を決める前に知っておきたい用語・基礎知識
販売価格は、材料費や手間などを参考に何となく決めるのではなく、原価、原価率、利益率といった要素を考慮する必要があります。
ここでは、販売価格を決める前に知っておきたい基礎知識と、計算式や決め方の種類をしっかり押さえていきましょう。
原価
原価とは、商品を提供するために発生した費用です。原価は、以下のように分類されます。
- 材料費:原材料費、購入部品費、消耗品費 など
- 労務費:給与、賞与、福利厚生費 など
- 製造経費:減価償却費、修繕費、交通費 など
価格を原価よりも低く設定すると、売上が出ないので注意が必要です。原価がかかりすぎて価格を高くしても、お客さまにとって購入しにくくなるので、原価から見直す必要があります。
原価率
原価率とは、売上に対する原価の割合です。「原価÷売上×100」で求めることができます。
利益率
利益率とは、「利益÷売上」で求められる数値です。商品やサービスを提供する際、必ずしも売上がそのまま利益になることばかりではありません。
売上から経費や人件費を除いた利益に注目して運営することが大切です。利益率が高ければ高いほど、売上に対する利益が高いため、運営の指標を決めると良いでしょう。
価格の計算式
販売価格の主な計算式は、以下の2つです。
- 「原価÷原価率」
- 「原価÷(1-予定利益率)」
「原価÷原価率」では、原価に対して適切な価格を計算するときに使用します。原価率は、費用から算出する方法と業界の一般的な数値を使用する方法があります。自分で作品や食品などを販売する場合は、原価を参考に原価率を計算しましょう。
「原価÷(1-予定利益率)」は、利益を基準に販売価格を決める方法です。目標とする利益率を参考にして、利益の出やすい販売価格を算出できます。
販売価格の決め方の種類
販売価格の決め方は、主に6種類あります。
- コストプラス法
- マークアップ法
- 市場価格追随法
- プライスリーダー追随法
- 慣習価格法
- 名声価格法
それぞれについて詳しく解説していきます。
コストプラス法
コストプラス法は、販売価格を決める方法として、最もシンプルな方法です。販売にかかったコストを利益に足して販売価格を決める方法で、主に製造業者で使われることが多いです。
コストプラス法で計算する方法は、以下の計算式に当てはめます。
計算方法がシンプルなので、簡単に販売価格を決められるのがメリットです。また原価が含まれているため、商品が売れると一定の利益を確実に得ることができます。
しかし、原価率を重視するため販売価格が高くなりがちで、市場の平均値やお客さまのニーズから大きく離れてしまう点には注意しなければいけません。
マークアップ法
マークアップ法は、コストプラス法と似ていますが、製造原価ではなく仕入れ原価をもとにして計算します。卸業者や小売店などで採用されることが多い方法です。
マークアップ法の計算式は、以下のとおりです。
市場価格追随法
市場価格追随法は、競合ショップや類似商品の価格をもとに販売価格を決定する方法です。市場の状況にあった価格設定ができるため、安心感があります。一方、商品によっては原価に合わない価格になる可能性があるので注意が必要です。
プライスリーダー追随法
プライスリーダー追随法は、市場価格追随法と同じく同業者の価格を基準とします。ただし、プライスリーダー追随法では、大手企業や業界に大きな影響力を持っている企業の販売価格に合わせて価格設定をします。
市場で高いシェアを持つ企業は、お客さまからの信頼が高いので、参考にしたリーダー企業よりも高い価格で販売するのは難しいです。
逆にリーダー企業よりも安い価格にすると、売れやすくはなりますが、利益を伸ばすためにはコストを抑える必要があります。そのため、リーダー企業の力が強いジャンルの場合、よほどの差別化が図れない場合は、リーダー企業の価格に追随するしかないでしょう。
慣習価格法
慣習価格法とは、長期にわたって売られている価格を基準にして価格設定をする方法です。例えば、お菓子やペットボトルの飲み物などは、何年も同じ価格帯で販売されている商品です。
このように何年・何十年とわたって同じ価格帯で販売されているジャンルの商品は、顧客の意識もその価格帯になっています。そのため、その価格よりも高くても安くても売れにくくなります。
慣習価格が存在するジャンルの商品は、その価格で販売するもしくは、高品質な製品を高く売ることで売上を伸ばせる確率が高くなります。
名声価格法
名声価格法は、商品に付加価値や特典をつけることで、市場価格よりも販売価格を高くする方法です。競合ショップや類似品との差別化を図りたい場合に最適です。
販売価格を決める際のポイント
販売価格を決める際は、4つのポイントを意識しましょう。
- コストや利益率を考慮して価格設定する
- 競合他社の価格と比較する
- お客さまが購入したくなる価格に決める
- ショップのコンセプトやターゲットを想定する
ポイントを一つひとつ解説していきます。
コストや利益率を考慮して価格設定する
販売価格を決めるときの前提は、利益が出ることです。そのため、コストや利益率を考慮して価格を考える必要があります。原価を基準にする方法は価格を決めやすく、原価率の割合によって販売価格を調整することが可能です。
どのくらいの利益を得たいか明確に決まっている場合は、利益率を基準にしましょう。利益率が高いほど価格も上がるので、利益率を意識しつつ、バランスを取ることが大切です。
競合他社の価格と比較する
コストや利益率を考慮していても、市場価格からかけ離れていると購入されにくくなります。似ている商品が自社より安く売られていると、お客さまはより安くて良い方を購入するでしょう。
販売価格を決める際は、競合他社の商品価格を確認することが大切です。ただし、競合他社より安くすればよいというわけではありません。価格が安いことで質が低いと思われたり、値下げ競争に巻き込まれたりする可能性があります。
他社より高価でも、商品の質の高さや特典など購入したい理由があれば、お客さまは購入してくれるでしょう。あくまでも参考として他社をチェックし、根拠のある販売価格を設定することが重要です。
お客さまが購入したくなる価格に決める
市場価格を考慮するだけではなく、お客さま目線の価格であるかも重要なポイントです。原価や利益を求めた結果、お客さまが購入したいと思えなければ価格設定は失敗となります。
商品の質や強みに合った価格を設定し、「その価格でこんな商品が購入できるのか」と魅力を感じていただけるようなアプローチが必要です。
ショップのコンセプトやターゲットを想定する
ショップのコンセプトやターゲットも、販売価格を決めるポイントのひとつです。例えば、安くて良いものが集まるというコンセプトで、主婦・主夫層をターゲットにするなら、市場価格よりも安く販売価格を設定すると良いでしょう。
モノの質にこだわるお客さまをターゲットにする場合は、販売価格を少々高めにして商品の質を重視するのがおすすめです。
販売価格にコンセプトやターゲットの意図が込められていると、ショップのイメージもつくりやすくなります。「安くて上質なものが買えるお店」「質の高いアイテムを買うならこのお店」などのイメージが根付けば、さらなる集客を期待できるでしょう。
販売価格を決める際のテクニック
先述した販売価格の計算式やポイントを基本にしながら、テクニックを実践すると、より適切で売れやすい価格を付けることができます。ぜひ取り入れたいテクニックは、以下の3つです。
- 値下げして桁を減らす
- 種類に合わせて段階的に価格設定する
- 抱き合わせ価格を設定する
テクニックそれぞれのポイントをおさえて、できる技からチャレンジしてみましょう。
値下げして桁を減らす
同じ商品が1,000円と999円で売られていた場合、桁数が少ない999円の方がお得に感じやすくなります。10,000円の商品を9,999円に値下げすれば、お得感が出て、お客さまの購入意欲を刺激することが可能です。
種類に合わせて段階的に価格設定する
段階価格という販売価格の決め方があり「極端の回避性」または「松竹梅の法則」と呼ばれる心理を利用しています。例えば、2,000円、1,500円、1,000円の商品があった場合、2,000円と1,000円のものよりも1,500円を選ぶ傾向が人間にはあると言われています。
そのため、中間価格の商品に利益率の高い販売価格を設定すれば、より利益を得やすくなるというのが段階価格のメリットです。
抱き合わせ価格を設定する
抱き合わせ価格とは、セットで購入した場合の価格です。単品でそれぞれ購入するよりもお得な価格を設定することで、お得感をアピールできます。
パソコンの購入に周辺機器をセットにしたり、ハンバーガーとポテトをセットにしたりするのが代表的な例です。メイン商品に付随する商品がある場合は、抱き合わせ価格の設定を検討してみましょう。
販売価格を決める際の注意点
販売価格を決める際には、以下の3点に注意しましょう。
- 極端な価格に設定しない
- 出品後に価格の変更は極力行わない
- 仕入れや時給以外にかかった費用なども忘れず入れる
値段によっては購入されにくくなるので、販売価格の決定は慎重に行わなければいけません。
極端な価格に設定しない
商品をとにかく売りたいから安価にする、利益を高くしたいから高価にするなど、極端な価格設定は避けましょう。
必要以上に安価にした場合、手に取るお客さまが増えても、原価が利益を上回る可能性が高く、事業を継続するのが難しくなります。高額すぎると、欲しくても購入できないお客さまが発生し、販売機会を逃してしまうでしょう。
原価や利益を考慮しながら、市場価格や一般的な価格を参考にして、バランスの良い販売価格を設定するのがポイントです。
出品後に価格の変更は極力行わない
商品を出品した後に、販売価格の変更を頻繁に行うのはNGです。一度購入したお客さまが再度利用したときに、商品の価格が変わっていると、損をしたと思ったり、リピート購入をやめてしまったりする場合があります。
ただし、価格のトレンドや競合の価格は常に変化しているので、定期的な見直しは必要です。季節やトレンド、仕入れ値が変わった場合には、価格の変更を検討すると良いでしょう。
仕入れや時給以外にかかった費用なども忘れず入れる
利益をしっかりと出すためには、販売価格に商品を販売するまでにかかるすべての費用を含めることが大切です。仕入れや製造にかかった費用だけでなく、時給などの人件費や、倉庫の家賃、ネットショップ運営にかかる費用なども忘れずに入れましょう。
また広告宣伝費など、目に見えない費用は忘れやすいので注意が必要です。
販売価格を後から変更する場合には
販売している商品の価格を後から変更する方法としては、以下の2つがあります。
- 徐々に価格を変更していく
- 期間限定で値引きする
徐々に価格を変更していく
ショップを始めたばかりの時期は、販売価格を低めに設定することで、認知度を高められます。認知度やリピーターがある程度増えた時点で、徐々に販売価格を高くしていくことで、売上を伸ばすことが可能です。
また新商品の場合は、高めに価格設定をしておき、次に新しいモデルが発売されたタイミングなどで値引きする方法もあります。
期間限定で値引きする
新規顧客やリピーターを増やすための施策として、期間限定で値引きセールを打つのが効果的です。値引きセールを行うことで、購入を迷っている方やリピーターの購入意欲を高められるため、売上を伸ばせます。
1,000円の商品を800円で売ると、1個あたりの利益は200円少なくなりますが、通常よりも数が売れれば利益は増えます。
また値引きセールは、特に新規顧客に対しての効果が高い戦略のひとつです。値引きセールで商品を購入してもらえると、新規顧客の成功体験につながります。
過去に一度でも購入したショップは、「利用したことのあるサイト」という認識になり、リピート購入されやすくなります。
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初心者でもあんしん!スマホからでも使いやすい操作性
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